子どもが立って着替えられるのはスーパーハイト系のメリット
軽自動車の品ぞろえは、まさに小さいクルマの総合百貨店状態で、そのモデル数は膨大とも言っていい。そこでたとえばホンダの場合、同じハイト系でもスーパーハイト系のホンダN-BOXとハイト系のホンダN-WGNの両方があるのはなぜか、意味があるのか? などと感じる人もいるはずだ。
最初に結論から言ってしまえば、どちらも必要、ということになる。スーパーハイト系、ハイト系ともに、最大のアピールポイントはコンパクトカーや中型車をしのぐ室内空間の広さに尽きる。たとえばスーパーハイト系のN-BOXの室内空間は、身長172cmの乗員を基準にすると、前席頭上に290mm、後席頭上に265mm、ひざまわりに最大450mmものスペースがある。
ハイト系の日産デイズにしても、前席頭上に215mm、後席頭上に170mm、ひざまわりに最大340mmものスペースがある。ちなみに、アメリカンサイズの新型トヨタRAV4の後席頭上スペースは180mm、ひざまわりスペースは210mmである。軽自動車のキャビン最優先パッケージング(その分、荷室は狭いが)、空間効率の追求が、いかにすごいかが分かるだろう。
続いて、ハイト系を名乗るだけある室内高を見てみると、スーパーハイト系は子供が車内で立ったまま、着替えができるほどの高さがある(スズキ・スペーシアで1410mm)一方で、ハイト系のスズキ・ワゴンRは1265mmだから、さすがに子供が立ったまま着替えをすることは難しい。とはいえ、中型セダンタイプにして室内空間に余裕があるプリウスの室内高は1195mm。十分に天井が高いことになる。
そして両タイプは、リヤドアの形状がまったく異なる。ハイト系は一般的なスイングドア(ヒンジドア)、スーパーハイト系は両側スライドドアで、タントに至っては助手席側Bピラーレスのミラクルオープンドアを採用。乗降性に特化しているのだ。スライドドアのメリットとしては、大開口、掃きだしフロアによる乗り降りのしやすさに加え、左右ギリギリにクルマが止まっているような状況でも、ドアの張り出しが最小限のため、乗り降りしやすく、となりのクルマにドアをぶつける心配もない。
と、スーパーハイト系はいいことずくめのようだが(とくに子育て世代にとっては)、一般的にはデメリットがないわけではない。