日本の道路事情に合わない車両の大型化も原因のひとつに
理由のもうひとつは、消費者のそうした家計の合理性を度外視し、クルマ単体の性能のみを競う新車開発の仕方もあるだろう。象徴的なのが、のきなみ3ナンバー化していることだ。室内が快適であったり、走行性能が高まったり、それでいて税金は5ナンバーと変わらないとメーカー側がいっても、実用上の使い勝手は悪くなっている。
たとえば、車両感覚が掴みにくくなっていたり、クルマの周囲を確認しにくくなっていたりする。それを補うためカメラなどによる画像確認を採り入れても、画面しか見なかったりセンサーを頼りにしたりする運転は不安を伴う。
それでも軽自動車の人気が高まっているのは、軽自動車規格の車幅がじつは1960年代の初代カローラやサニーとほぼ同じで、5ナンバー車で普及の進んだ国内の道路環境に、いまもっとも適した車体寸法であるためだ。車庫入れも、駐車枠に余裕をもってできる。
なおかつ、家族のためのハイトワゴンはもちろん、SUVや本格的4輪駆動車、あるいはスポーツカーや、女性に的を絞った車種など多種多彩だ。しかし一方で、運転支援装備などの追加により価格は高止まりで、買い替えるより借りたほうが経済的であるうえ、カーシェアリングでも車種を選べる時代になっている。
スマートフォンで快適な暮らしのできる今日、カーシェアリングを利用すれば、クルマを買う意味は失われつつあるのだと思う。