クルマ離れはウソ? 若者を中心に日本人が新車を買わなくなったワケ (2/2ページ)

日本の道路事情に合わない車両の大型化も原因のひとつに

 理由のもうひとつは、消費者のそうした家計の合理性を度外視し、クルマ単体の性能のみを競う新車開発の仕方もあるだろう。象徴的なのが、のきなみ3ナンバー化していることだ。室内が快適であったり、走行性能が高まったり、それでいて税金は5ナンバーと変わらないとメーカー側がいっても、実用上の使い勝手は悪くなっている。

 たとえば、車両感覚が掴みにくくなっていたり、クルマの周囲を確認しにくくなっていたりする。それを補うためカメラなどによる画像確認を採り入れても、画面しか見なかったりセンサーを頼りにしたりする運転は不安を伴う。

 それでも軽自動車の人気が高まっているのは、軽自動車規格の車幅がじつは1960年代の初代カローラやサニーとほぼ同じで、5ナンバー車で普及の進んだ国内の道路環境に、いまもっとも適した車体寸法であるためだ。車庫入れも、駐車枠に余裕をもってできる。

 なおかつ、家族のためのハイトワゴンはもちろん、SUVや本格的4輪駆動車、あるいはスポーツカーや、女性に的を絞った車種など多種多彩だ。しかし一方で、運転支援装備などの追加により価格は高止まりで、買い替えるより借りたほうが経済的であるうえ、カーシェアリングでも車種を選べる時代になっている。

 スマートフォンで快適な暮らしのできる今日、カーシェアリングを利用すれば、クルマを買う意味は失われつつあるのだと思う。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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