かつてターボ車の代名詞だった「ターボラグ」が今のクルマから消えたワケ (2/2ページ)

GRスープラからもターボラグは感じられない!

 これは燃費重視のダウンサイジングターボだけでなく、最新のGRスープラにもいえること。GRスープラの3リッター直6ターボは、1600~4500回転まで51.0kg-mという最大トルクをキープし続けている。

 最大トルクが1500回転、1600回転といわれても、体感的には2000回転ぐらいからターボが効いてきたと実感できるケースが多いが、NAエンジンだって2000回転未満のレスポンスは大したことがないので、「ラグ」とまでは言い難いレベル。

 しかも、AT車ならどんどん多段化が進んでいるので、加速しようとアクセルを踏み込んだ途端にシフトダウンするので、ターボが効きだす回転数になるまで時間はかからない。

 また、ホンダなどは、電動ウェイストゲート付きターボチャージャーをシビックやN-BOXなどに採用。低負荷時には、ウェイストゲートを開いてタービンをあまり回さないようにして、ポンピングロスを減らし、燃費を向上。と同時にウェイストゲートを制御の細かい電動化にすることで過給レスポンスを高めている。

 反対に、スイフトスポーツのように、「ノーマルクローズ制御」といって、あえて低負荷時でもウェイストゲートを閉じっぱなしにすることで(ひと昔前のターボは、過給圧が上がりすぎるのを防ぐために高負荷領域だけウェイストゲートが開いた)、レスポンスを優先させている例もある。

 このように、ターボチャージャーというシステムの仕組み上、ターボラグがゼロになることはありえないのだが、ターボ周辺の技術の進歩によって、いまのターボ車は扱いやすく、燃費とパワーを両立させ、トータルとしてみたときに、ターボラグはあまり気にならないほど僅少なレベルになってきたというわけだ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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