コンセプトがブレたためか販売で苦戦するモデルも
3)ホンダ・オデッセイ
さて、ホンダでフルモデルチェンジのたびにキャラを変えたクルマとして思い出すのは元祖・国産ミニバンといえる「オデッセイ」です。乗用車ベースのプラットフォームにスペース効率に優れたボディを載せるというアイディアは市場に高く評価され、初代モデルは大ヒットを果たしたのです。ミニバンといっても、後席もヒンジドアでちょっと背の高いステーションワゴンといった風情だったのも、商用車と基本を共用していた他社のミニバンとは一線を画すもので、乗用車的な部分が評価されていました。
そして2代目はキープコンセプトでしたが、2003年にフルモデルチェンジした3代目は低床プラットフォームを採用したことで全高を1550mmと乗用車並みに低くしたボディへと生まれ変わったのです。走りのミニバンというキャラクターはユーザーにウケ、4代目でも全高を1550mm以下に抑えたシルエットは維持されました。しかし、時代は走りよりスペースを求めていました。スライドドアのミニバンが主流になっていく中、4代目オデッセイは苦戦を強いられます。走り重視としながらも、3代目にはあったV6エンジンが選べなくなっていたのもネガと捉えられたのかもしれません。
そんなわけで、2013年にフルモデルチェンジして登場した5代目オデッセイはまったく違うキャラクターのミニバンへと生まれ変わったのです。後席ドアは歴代初のスライドドアとなり、全高も初代モデルを超える1685mmとなりました。当初は2.4リッターエンジンだけのラインアップでしたが、遅れて2リッターハイブリッド(2モーター式スポーツハイブリッドi-MMD)も設定するなど、ミニバンのトレンドをしっかりと追いかけた進化をしています。しかしながら、現行オデッセイの月販は平均1320台程度と、かつての輝きは取り戻せていません(それでもシビックよりは売れていますが)。
その理由をひとつに絞ることは難しいのですが、コンセプトがブレていることでクルマとしてのブランディングが乱れたことが、いまの苦戦につながっている部分は否定できないでしょう。
4)BMW1シリーズ
大排気量エンジンを専用のFRプラットフォームに組み合わせるという伝統に大変革を起したコルベットと同様に、駆動方式を大きく変えたモデルが2019年に登場します。それがBMW1シリーズです。前後重量配分50:50にこだわり、コンパクトモデルであってもFRという駆動方式を採用しつづけてきたBMWですが、ついに1シリーズはBMW MINIと共通プラットフォームのFFモデルになりました。
発売は2019年秋となっているので、一般ユーザーの評価を受けるのはこれからですが、FRであることがアイデンティティのひとつでもあったBMWの主力モデルがFFとなったことで、どのような変化が生まれるのでしょうか。
もっとも、すでに2シリーズのアクティブツアラーなどではBMWのFF車というのは存在していますし、1シリーズの属するセグメントを選ぶユーザーがそれほど駆動方式にこだわりを持っていないという見方もあり、FFのBMWが拒絶反応を示されるという見方はないよいです。もちろん、この大変革がどのような結果(販売実績)につながるのかは、神のみぞ知る未来の話です。