サッカーが流行る国ならラリーも人気になる!
篠田:やはりWRCを日本で開催するというのはラリーを盛り上げるひとつのきっかけになりそうですね。来年にはラリージャパン復活の噂もありますが、このことをどう見ていますか?
国沢:日本ではトヨタガズーレーシングのラリー参戦が一番身近でホットな話題かもしれないね。じつは面白い話があって、サッカーが人気な地域はラリーも人気。サッカーが人気な地域はラリーも人気なんだ。日本でもサッカーが流行り出すのはヨーロッパと比べて遅かった。だからラリーも流行り出せば結構イケると思うんだけど、実際にラリーを見てみないと、やっぱりわかりにくいのかな。動画で見ていても、実際の音や速さはわからないからね。本物を見たら全然違うと思う。これは(トヨタの)豊田章男社長も言っているけれど、やっぱり本物を見せることが大事だと思うよ。
篠田:確かに、私も早く本物を見てみたいです。なかなかイメージが湧きにくいのですが、普段、練習などはどのように行なっているんですか?
国沢:なかなかラリー専用の練習はできないね。ダートトライアルなどで早く走れたとしても、実際のラリーでは同じように走ったらコースアウトしてしまう。WRCドライバーのように2週間に1回ラリーに出場できる環境ならいいけれど、そんなことはできない。そうすると、毎日いろいろなことをラリーに置き換えて考えながら運転するしかないかな。
篠田:日常からラリーを意識されているんですね。デビュー戦から17年ラリーに挑戦し続けて、楽しいと思う瞬間はどんなときですか?
国沢:正直、ラリーが始まると大変なことのほうが多い。タイ国王杯で2回目に優勝した時は他車が次々とリタイヤしていくなかで、普通に走れば優勝できることが決まっていてもタイヤがパンクしたり、クラッシュしたりとトラブル続きだった。そういう時は辛いね。他車がいないぶん、ラリーはドライバーとコ・ドライバーだけでの孤独な戦い。いつ引っ掛けて横転してしまうかという恐怖と戦っているよ。むしろ、みんなで移動したり食事したりしている時のほうが楽しいね。
篠田:なるほど、それはドライバーでなければわからない心境ですね。では最後に、今回のラリー・ドイツに向けてひと言お願いします!
国沢:意気込むと最初のコーナーでいきなりリタイヤとなってしまうこともあるのがラリー。だから気負わず、3日間を1つの競技だと言い聞かせて、焦らずじっくりやるしかないね。長い目で見ないとダメだと思う。
篠田:ありがとうございました! ドライバーとして活動する国沢さんならではの目線からお話していただいたことで、ラリーの面白さやドライバーの苦労などがよくわかりました。
次回は、なんと国沢さんがラリーに使用していた本物のラリーカーに私篠田が試乗してきたので、その模様をお届けします。