ライバル不在なら熟成しながら売り続けても問題はない
今回、あえてトヨタのラインアップに絞ってピックアップしたが、他のモデルを見てもヴィッツを除くと、ライバル不在のモデルが多いことに気付くだろう。
信頼性を重視して考えればランドクルーザー(200系)のライバルは世界的に見ても存在しない。86についても、このクラスの手頃なスポーツカーは数少ない。ポルテ/スペイドも直接的なライバルは思いつかないほどユニークなモデルだ。
競争相手が不在であれば、法規対応などの課題がない限り、あえてフルモデルチェンジをする必要はないというわけだ。そして長寿モデルになると原価面でのメリットも大きい。メーカーの原価というのは明示されることはないが、ある程度の台数を売ってしまえば、金型なども含めた初期の開発費は回収でき、そこから先は利益率が高くなる傾向にある。
フルモデルチェンジによる商品力アップの必要性がなければ、小変更によって新鮮味を維持しながら売り続けるというのはメーカーにとっては“おいしい話”といえる。
とはいえ、長寿モデルというのはメーカーの手抜きというわけではない。たとえば、上に挙げたラインアップでいえばプレミオ/アリオンはマイナーチェンジにより先進安全装備「トヨタセーフティセンス」を装備している。
開発の時期を考えると、こうした装備を追加するのは電子プラットフォームなどから難しい面もあるはずだが、しっかりと現行モデルに求められる機能を満たしている。
結果として、ユーザーは最新の機能を持ったクルマを買うことができるわけで、デビュー年次が古いからといって不満を覚える必要はないのである。