FF化によって広い室内空間やコスパは高まったものの……
今や大半の自動車が採用している前輪駆動方式。しかし、1980年代前半まではまだまだ前輪駆動方式に懐疑的な部分もあり、本格的に前輪駆動方式に移行したのは90年代に入ってからだった。フラットで広い室内空間や、コンポーネンツをフロントに集約できるためコストにも優れるというメリットはあるものの、操る楽しみを考えると後輪駆動のままが良かった……と思えてしまう、そんな車種をピックアップしてみよう。
1)トヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノ
5世代目のカローラ/スプリンターのスポーティグレードであるレビン/トレノ。AE86(ハチロク)の愛称でも有名な、言わずと知れた人気車種である。
最後のFRモデルということもあって当時から人気の高い車種であったが、すでにレビン/トレノ以外のモデルは5世代目の時点でFF化されており、レビン/トレノは旧型の4世代目のコンポーネントを使用したモデルであった。
当時のトヨタはまだ前輪駆動化に慎重であり、一気にすべてのモデルをFF化せずに市場の反応を見て徐々に入れ替える方式をとっていたのだ。そのため、同時期に販売されていたカリーナも4代目のFFモデルと並行して3代目のFRモデルを併売していたのだ。