いずれの行為も正当な理由があれば違反にならない
さて、そのほか急の付く運転については、道路交通法で明確に禁止はされていないといえる。ただし、交通事故を起こしたりすると、安全運転義務違反や危険運転に問われる可能性は否定できない。また、複数台で急ハンドルや急加速を繰り返していると共同危険行為として摘発される可能性はあるだろう。いわゆる暴走族として取り締まりを受けることになる。ただし共同危険行為は複数台でなければ成立しないので、単走で急ハンドルや急加速をしている分には、少なくとも共同危険行為には当たらないのも事実だ。
また、道路交通法には騒音運転等違反という条文もあるため、公道での空ぶかしやバーンアウト、サイドターンやドリフト行為も違反に問われる可能性がある。ただし、こうした行為に対しても禁止される場合は「正当な理由がなく」という条件がつく。スタックしてしまってタイヤが空転しているからといって即違反というわけではない。
結論からいえば、急ブレーキの禁止は道路交通法で明記されているが、それ以外の行為については安全運転ではない、騒音がうるさいといった主観的な判断によって違反となるというのが現実だ。もっとも、急ブレーキであるかどうかの判断も主観によるものといえば、それまでだが。そして、いずれにしても事故回避など正当な理由があれば違反行為にはならないのである。
とはいっても、急が付く運転はクルマを傷めてしまう。急ブレーキや急発進などタイヤがスキール音をたてるような運転はタイヤが減りやすい。また、MTで急発進を繰り返しているとクラッチが傷んでしまうし、急ブレーキではブレーキパッドなどが減ってしまう。急ハンドルはボディへの負担もかかるし、ブッシュ類も傷みやすくなる。モータースポーツの現場で1000分の1秒を争っているのであれば、そうも言っていられないが、公道で走るぶんには不要な負担をかけて愛車を傷めるメリットはない。
繰り返すが、事故を回避するために急の付く運転をしなければいけないこともあるだろう。だが、それ以外のときに公道で急ブレーキや急ハンドル、急加速や急加速をするのは愚の骨頂だ。