見た目重視でやりすぎるのは良くない
実際、ほとんどのクルマの前後トレッドは同一ではなく、国産車ではフロントのトレッドがやや広いクルマが大半だ。これはフロントにエンジンを搭載し、フロントヘビーのクルマが多いから。こうしたクルマは前後同一トレッドだとアンダーステアが出やすくなるので、フロントのトレッドをやや広げることで回頭性を高め、左右の荷重移動量を減らして、安定感を高めているわけだ。
こういうクルマをツライチにするとどうなるか。フロントだけでなく、もともとナローだったリヤのトレッドもフロント同様に目いっぱい広げることで、頑固なアンダーステア傾向になるのは避けられない。また乗り心地も悪くなり、ステアリングの手ごたえも変わってくる……。
これはなかなかシビアなバランスで、前後のトレッドについてそれぞれどこがベストなのかを探すのは容易ではない。だからメーカーが苦労して設定した値を変えたくないので、運動性能のことを考えると、あまりトレッドをいじるのはおすすめできない。
それでも「スペーサーを入れてみたけど、違いなんて判らなかった」「違うのはわかったけど許容の範囲で、ルックス優先」という人は、保安基準に合致する範囲で、自由にカスタムを楽しめばいいと思う。