続発する高齢ドライバーによる事故に「ムダ」との声も! 免許更新時の「高齢者講習」は本当に意味がないのか? (2/2ページ)

検査結果次第では診断書が必要となる

 しかし免許更新時に75歳を超えると、上記の高齢者講習の前に「認知機能検査」が加わる。30分(750円)という短時間のテストになるが、その内容は「検査時の年月日、曜日及び時間」、「16種類の絵を記憶し、何が描かれていたかを回答」、「時計の文字盤を描き、指定された時刻を表す針を描く」といったもの。この内容だけを見ると、誰でもクリアできそうに思えるが、ある程度の認知症になっていると、こうした課題をクリアすることは難しい。年月日の不明瞭などは認知症の判断として、よく用いられる質問だったりする。そして、この筆記試験によって3段階に振り分けられる。

「記憶力・判断力に心配ありません」という判定結果を受けると、70~74歳と同様に2時間の高齢者講習によって運転免許を更新することができる。しかし、「記憶力・判断力が少し低くなっています」という判定結果を受けると、通常の高齢者講習に個別指導もプラスした3時間の講習を受けなくてはならなくなる。さらに「記憶力・判断力が低くなっています」という判定結果を受けると専門医に受診して、受検又は診断書の提出が必要になる。その内容を運転免許本部で精査した上で、運転が可能と判断されれば3時間の講習を受けることで運転免許の更新が可能になる。

 つまり、75歳を超えると筆記試験の段階でフィルターがしっかりと機能して、運転免許を更新したいのであれば、かならず専門医にかからなければいけないのだ。実際、この「認知機能検査」によって「記憶力・判断力が低くなっています」と判定された知人のなかには、専門医を受診した結果、認知症と判断された人もいる。認知症と判断されると運転免許が更新できないだけでなく取り消し処分となることもある。

 高齢者講習によって完璧に危険なドライバーをフィルタリングできているとはいえないだろうが、けっして形式的なものではない。少なくとも専門医によって認知症と判断されるレベルであれば、高齢者講習の仕組みのなかで運転免許を更新できないようにストップすることが可能となっているのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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