クルマはドライバーの目線のほうに進んでいく
3)首の傾きからくる錯覚
コーナリング中に首や身体を内側に傾ける癖がある人をときどき見かけるが、こういう人はワインディングなど、コーナーが連続する区間を走ったときに、水平(平衡)感覚が狂うことがあるので要注意。
右に左に首や身体を傾けているうちに、基準となる水平がよくわからなくなり、平らな道を走っているのに、道路が傾いているように感じることに……。
視界は常に水平を保つようにしておかないと、平衡感覚が狂ってくるので、コーナーで首を曲げて視界が斜めにならないよう、意識して運転するようにしよう。
4)「蒸発現象」「溶け込み現象」
これは昼間、トンネルに出入りするときに起きる現象。真っ暗なトンネルから、明るい外に出ようとするとき、外の光がまぶしくて、前走車が見えづらくなることがある。これが「蒸発現象」。
前のクルマが見えなくなった、とブレーキを踏んだりすると追突事故の原因になるので、速度一定のままトンネルを出ることが肝要。
反対にトンネルに入るときは、暗さに目が慣れるまで、周囲が真っ暗に見え、黒っぽいクルマなどが周囲に溶け込んで見えづらくなる「溶け込み現象」が起きる。
対策としては、トンネルに入る前からヘッドライトをつけて、被視認性を高めておくのが有効。日差しが強い日はサングラスをかけておいて、トンネルに入るときにサングラスを外すと「溶け込み現象」の影響が薄れる。
5)危ない方向に進んでしまう視覚吸引作用
たとえば、路上に落下物があったとき、それを避けようと思って落下物を凝視しているうちに、クルマがそこに向かっていってしまったり、思っていたよりコーナーがきついと思ったときに、外側のガードレールに目線が行って、どんどんラインが膨らんでいってしまうことがある。
クルマというのは、ドライバーが見ている方向に進むもの。「危ない」と思って、何かに視線が集中すると、そこ会吸い寄せられるように近づいていってしまう……。これを「視覚吸引作用」という。
何か気になったものに注意を奪われそうになったときは、意識的に行きたい方向に視線を動かすようにするしかない。
また、ルームミラーから何かをぶら下げたり、ダッシュボードの上に、動きやすいモノなどを置いておくと、何かの拍子にそちらに目線が行ってしまう可能性もあるので、フロントガラス周辺には、動くようなものは一切置かないようにしておこう。