直径の小さな光源でも光量を得られるようになった
ヘッドライトの形状が徐々に細くなっている。最近はトヨタのキーンルックなど、細いツリ目のヘッドライトをブランドデザインとして導入するメーカーが増えているので、やたら目立つようになってきた。
ヘッドライトが薄くなった第一の原因は、直径の小さな光源でも光量を得られるようになったから。電球と同じくフィラメントで発光するハロゲンランプと反射板を組み合わせていた時代は、ヘッドランプはある程度の直径が必要だったし、当初は丸型しかなかった。
とくにアメリカでは、74年まで丸形の規格サイズのヘッドライトしか使ってはいけなかった。角形が登場したのは60年代の欧州だが、なんだかんだで70年代まで、ヘッドライトはほぼ丸か角かしかなく、それが2個か4個かというバリエーションだった。
それが、蛍光灯と同じ原理で発光するディスチャージ系(HID)ランプに進化し、近年はさらに光源が小さなLEDヘッドライトも登場。現在、いわゆる「目」と言われるヘッドライト全体のデザインは、面積を含めて、いかようにもできるようになった。
ただ、光源の直径が小さくなっても、従来の価値観は根強く、ユーザーは突飛なデザインを急には受け入れられない。なにせクルマの”顔”は、目(ヘッドライト)と口(グリル)がメイン。目が急に点みたいになっちゃったり、糸ミミズみたいになっちゃったら、違和感が強すぎますからね。
たとえば93年に登場した3代目インテグラは、小さな丸形4灯が昆虫を連想させて不人気だった。そういうこともあって、技術が進化しても、しばらくはヘッドライトは、従来のヘッドライトらしい形や面積を保っていた。