いまだ大人気のスズキ・ジムニーの実力は本物か? レーシングドライバーが徹底的に斬る! (1/2ページ)

世界中が注目するコンパクトSUVの実力やいかに

 昨年フルモデルチェンジを受けて以来、大人気となっているのがスズキ・ジムニーだ。まもなく1年になるが、その人気高さは世界レベルにまで広がっていて、まったく衰えを見せていないという。僕もあやうく衝動買いしそうになったが、納車まで半年以上待つ、と聞かされて断念した。

 実際スズキは衝動買いしたくなるようなクルマ作りが上手で、以前も現行ハスラーを危うく注文しそうになった。しかし、試乗してみて高速道路での走行安定性に疑問を感じ見送ったのだった。今回ジムニーも試乗テストをする機会を得られたので一般道から高速そして極悪路のテストコースも走ってみた。

 ジムニーの実車を初めて見たときの印象は「大きい」ということだった。思っていた以上に存在感があり、ルーフやボンネットの位置も高く大きさに圧倒されたのだ。軽自動車のわずか660ccのエンジンでちゃんと走るのか? と疑問に感じるほどだ。

 クルマに乗り込むとアイポイントも高く見通し性が高い。インパネや内装も丁寧に作り込まれていて、軽自動車ながら質感が高い。エンジンを始動すると小さなエンジン音は迫力がなく、動力性能に不安を感じながら走りだしてみた。

 まずは市街地だ。動力性能的には流れに乗るのにまったく問題なく、不思議なほどにトルクが発揮されスムースに加速できる。市街地レベルではエンジン音も静かなままで、乗用車として普通に使えそうだ。

 高速道路に乗り入れると、若干不満なところが見え隠れする。それは意外にも動力性能面ではなく、シャシーの質感に関連する部分だ。4輪駆動は高速道路の操縦安定性も高めることができるので積極的に4Hを選択して走っていたが、フロアから微妙なバイブレーションが感じられたのだ。タイヤは175/80R16と大径だが、マット専用ではなく普通乗用も可能なタイプ。感覚としてはトランスファーユニットあたりから微振動が発生しているような印象だ。

 のちに2018年12月にスズキからリコールが発せられ、フロントデファレンシャルの減速比が異なる部品が仕様され、前後輪感で回転数差が生じるというリポートが出された。試乗車が該当しているのか不明だが、まさにそれで説明が付くような振動だった。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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