なぜ正式発表前にチラ見せする? 最近多い新型車のティザーキャンペーンを行うメーカーの狙いとは (2/2ページ)

軽自動車の新型と旧型の同時販売は珍しいことではない

 ただ、最近目立つのはティザーキャンペーンとほぼ同じタイミングでオーダーストップとなるケースである。販売現場の事情通によると、「現行カローラアクシオ&フィールダーはすでに(6月下旬時点)オーダーストップとなっているとのことです」。オーダーストップの時点で、ディーラーがストックしている在庫もわずかとのことなので、カローラについては、すでに次期型の予約受注が販売活動の中心となっている。

 このようなケースでは、正式発売のかなり前から予約受注活動をはじめ、実際に受注を積み重ね、正式発売1カ月後あたりに「発売1カ月でこれだけたくさん受注しています」と告知し、さらに販売促進活動に弾みをつけようとする狙いと、予約受注を多く積み重ねることで、お客の好みのグレードやボディカラーなどの傾向を把握し、効率的(人気仕様をメインにした)な生産を行うためのデータ集めをしたいという部分もあるようだ。

 一方で軽自動車はティザーキャンペーンを積極展開しても、同タイミングもしくは、その後に現行車がオーダーストップとなっても、売れ筋モデルならばディーラー在庫は新型車が正式にデビューしても潤沢にあるケースも多い。薄利多売が使命の軽自動車は、ブランド別でも車名別でも、日夜激しい販売台数競争が展開されている。一般的には新型車へ切り替わる“端境期”には販売台数が急落するのだが、とくに車名別で販売台数トップクラスにランキングされるモデルは、端境期の販売台数の落ち込みを防ぐために、新型車だけでなく旧型となった在庫車も、新型デビュー後も積極的に販売し続けるケースも目立つ。ショールームに新型車と旧型車が並んで展示されているということもある。

 軽自動車は手軽に日常生活の移動手段として使えるという“ツール”として所有されることが多いので、新型車が登場するということに、「現行あるいは、タイミングによっては旧型車が安く買える」と見るひとも多いと考えられる。新型登場直前のタイミングで単に値引きアップだけでなく、用品無料サービスなども充実した末期モデルを買い得に購入したいという購買行動が目立つのは軽自動車ならでは。移動の足と割り切るひとには新型になるというのは、必ずしも絶対的に魅力的なことには映らないのである。

 いずれにしろ、新型車の事前情報がチラチラしはじめて、そのモデルが気になったら、ディーラーへ出かけ情報収集を是非開始してもらいたい。正式デビュー後に動きだすと納期がどんどん遅くなってしまい、値引きも予約段階のほうが前述したように売れ筋を見極めるような、マーケットリサーチ的な部分も兼ねていることもある。正式発売直後よりは魅力的な条件が提示されることが多いのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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