「走行性能なんか価値としない」とメーカーが言い切ったモデルも
2)トヨタbB(2代目)
さて、国産コンパクトカーで初めて音、そして光にまでこだわったクルマといえば、2005年にデビューした、2代目トヨタ・bBだろう。何しろ開発担当者が「走行性能なんか価値としない、止まってナンボのクルマ型ミュージックプレイヤー」って言い切るぐらい。開発テーマはズバリ「音×光×まったり」。
夜ならグレードによって最大11カ所ある妖(あや)しく光る青紫イルミネーションが9スピーカーオーディオの音と連動して変化(ゆらぎモード、常時点灯モードもあり/アームレストコントローラーも一部グレードに完備)。クラブチックな音と光の洪水に身を任せられるんだから若者にはたまらなかった。
3)ホンダN-BOXスラッシュ
N-BOXスラッシュは、初代N-BOXをベースにルーフをぶった切り、N-BOXより全高を100mmも低めた、アメリカンかつファンキーなヒンジドアのチョップトップモデル=BOXクーペだ。
ユニークなのは、ルーフを塗り分けたツートーンを含むカラフルで多彩なボディーカラーに加え、カスタムカーの本場、アメリカ仕込みのインテリアカラーパッケージがあること、だけではない。車両の開発コンセプトは「クルマ1台ミュージックBOX!」なのである。
開発責任者の趣味を反映した!? オーディオへのこだわりはすさまじく、ディスプレーオーディオと組み合わされるオーディオシステムは、詳密なサウンドマッピングに加え、前席部分にFOSTEX製17cmバックロードホーン型サブウーファー(足もと)、17cmケブラーコーンスピーカー、アルミドームツイーター、後席部分に12cmケブラーコーンスピーカー、アルミドームツイーターを配置。
8+1スピーカーをパイオニア製7チャンネル、 360Wのアンプで駆動する、重低音から高音までクリアに再生する軽自動車用として本格的すぎるシステムであり、サブウーファーの音をリスナーの前から再生するのが肝となっている(一般的にはトランクに設置)。
サウンドマッピング装着車は非装着車に対して防音材が追加され、より静かで音楽を楽しみやすい車内空間を確保。さらに、より大音量でサウンドマッピングシステムを楽しみたいユーザー向けにアクセサリーとしてプロオーディオショップでのサウンドチューニング に匹敵する「ピュアサウンドブース」と呼ばれる純正デッドニングパーツも用意されていたのだからすごすぎる。
この2台に関しては、間違いなく、当時、走りよりも「音」にこだわってつくられたクルマそのものである。