そのクルマによって最適な性能の選択が求められる
そうした際、ことに大きくて重いクルマにはより大きな電力が必要で、48Vのマイルドハイブリッドという選択が生まれる。一方、日本車を中心としたより小型の車種では、軽自動車なら12Vのマイルドハイブリッドで十分な動力性能と優れた燃費性能が得られるし、マツダもそうしたことから48Vではなく24Vのマイルドハイブリッドを選ぼうとしているのだろう。
また電圧を上げるためにはそれなりのバッテリー容量が必要になり、その分、製造原価は高くなる。プレミアムブランドで500~1000万円水準の価格を付けられる車種ならいいが、価格にも厳しい目が向けられる車種ではバッテリー搭載量をできるだけ抑えたい考えがある。
単に電圧が高いから優秀で、電圧が低いとそれほどでもないといった数字の上下の比較ではなく、その車種にとって最適な性能と価格の調和が大切である。
いずれ11年後の2030年に、欧州のCO2排出量規制はさらに厳しさを増し、EVの台数を増やさなければならなくなる。エンジン技術を軸としたマイルドハイブリッドの手法は、48Vか12Vかの論争を超え、将来のCO2排出量規制に答えられなくなる。
11年後といえば、欧州車のモデルチェンジサイクルは8年後に出る次の車種の数年後のことであり、次の新車が出るころにはマイルドハイブリッド車が姿を消していく様子が目に見えてくるのではないか。それは、今購入したマイルドハイブリッド車の残存価値にもかかわってくるだろう。
いまどの方式の電動化車種を買うべきか、迷う時期ではある。