タイヤを替えると性能に差が出てしまうことも
高齢ドライバーの事故防止の観点から、一般メディアなどでは「自動ブレーキ」と呼ばれる機能に注目が集まっています。自動車業界的には「衝突被害軽減ブレーキ」、英語ではAutonomous Emergency Brake(AEB)といいます。
自動ブレーキというと常にクルマにブレーキングを任せておけるイメージですが、実際にはブレーキを踏むべき状況でドライバーが正しくブレーキを踏んでいないときにクルマが自動的にブレーキをかけるという緊急時だけに作動する機能です。ですから、AEB付きのクルマに乗っていても、一度もそのお世話にならないドライバーも少なからずいるはずです。
AEBの性能はさまざまで、歩行者検知能力の有無などもありますし、また作動する速度域にも違いがあります。センサーによっては車高を変えるカスタマイズによってAEBの性能に影響が出るといわれています。
では、タイヤを替えた場合、衝突被害軽減性能に変化はあるのでしょうか。その答えはイエスです。タイヤは銘柄によって路面をつかむグリップ力が異なります。車両側でブレーキをかけたとしてもタイヤと路面の間にある摩擦力以上の制動性能を生み出すことはできません。
ですから、経年劣化などでタイヤが傷んでくると新車時よりも制動距離(停止までに必要な距離)は伸びていきますし、またグリップ力の低いタイヤに替えたりするとAEBが作動しても止まり切れないということが起きてしまいます。