スタッドレスタイヤ装着時やウエット路面なども注意が必要
もっともタイヤのグリップが落ちた状態では、ドライバーによるブレーキングでも制動距離は伸びてしまいますから、AEBだけの問題ではなく当たり前の話です。ただし、ドライバーは路面や天候などのコンディションから制動距離が伸びてしまう状況を把握し、はやめにブレーキを踏むといった調整ができますが、ほとんどのAEBは天候などの条件をファクターとして考慮していません。
そのため、ドライの舗装路であれば止まれる距離でブレーキを始める傾向にあります。つまり、雪が積もっているような状況では衝突被害を軽減することはできても、対象物に当たらないよう止まることはできないのです。余談ですが、雪道で真価を発揮するスタッドレスタイヤはドライの舗装路ではサマータイヤに比べるとグリップ力が低くなりがち。これも気を付けたいポイントです。
また、雨の日などはタイヤと路面の摩擦力が落ちているだけでなく、雨粒の影響でセンサーの検知能力も落ちてしまうことがあります。そうなると、やはり減速はできても止まり切れないというケースは出てきてしまうでしょう。
AEBというのは、あくまでも速度を落として衝突被害を軽減するための機能であって、絶対に事故を防げるわけではありません。基本的にはドライバーの安全意識が事故を防ぐというのが大前提です。悪コンディション下では、速度を控えめにするなど止まれる速度を維持することを念頭に置いてハンドルを握りたいものです。