日本でよく見かけるギリギリ満タン給油は難しくなる
そこには日本の自動車ユーザーが「ギリギリまで満タンにしたい」というニーズがあるからかもしれない。フラップ式のキャップレス給油口では基本的に給油機が自動停止してからの継ぎ足しはNGだ。というのも中の様子がほとんど見えないからだ。
通常のキャップ型であれば給油パイプの中を覗くことができるため、自動停止してから少しずつ継ぎ足しできる。フルサービス給油では、給油レバーを微妙にコントロールしてギリギリまで燃料を入れている様子を見ることもあるだろう。
また、セルフ給油でも同様にチャレンジしているユーザーはいるようだ(推奨できる行為ではない)。そうしたギリギリ満タンを望むユーザーにとってキャップレス給油口は嫌われるのかもしれない。
とはいえ、ギリギリ満タンにするメリット自体さほどない。せいぜい次の給油までの距離が少し稼げるくらいのものであって、それによって燃費がよくなるわけではない。よほど一回での航続距離にこだわっているのでなければナンセンスな行為だったりする。
それよりも、雨の日のセルフ給油でもキャップを触らないで済むなど手が汚れづらい、手や袖口にガソリンの匂いが付きづらいというメリットのほうがよほど大きいといえる。合理的に考えれば、コストが許せばキャップレス給油口にしない理由はない。ボルボやキャデラックが採用しているのは、そうした思考によるものだろう。
一方で、どんなに合理的であっても変化を嫌う層は存在するし、またできていたこと(この場合はギリギリまでの継ぎ足し)ができなくなることへの反発が起きることも容易に想像できる。
メリットといっても給油時におけるキャップの脱着の手間が省ける程度だと考えると、それが商品力につながるほどの差別化とはいえない。多くの自動車メーカーが、そう考えているから採用例が増えないといえそうだ。