商品力につながる差別化とまではいかないのが理由のひとつ
クルマに給油するときの作業といえば、フューエルリッドを開けて、キャップを外して、給油ノズルを刺してレバーを引く……といったものだが、いちいちキャップを外すのは面倒だ。
最近のクルマではキャップがボディ側と樹脂製コードなどでつながっているので失くしてしまうことは少なくなったが、それでも閉め忘れてしまうといったミスは起こりがち。そこで給油のときにキャップを外さなければいいだろう、ということで生まれたのが「キャップレス給油口」。
給油ノズルを差し込むとバネなどによって閉じられているフラップが開き、ワンタッチで給油を開始できるアイテムだ。セルフ給油の歴史が長いアメリカで販売されているクルマには採用例が多く、また後付けでキャップレスにできるパーツも売られている。
とはいえ、国産車での採用例は非常に少なく、ホンダ・レジェンドと日産セレナくらいしかない。一度使ってしまうと非常に便利だと実感できる「キャップレス給油口」だが、普及に弾みがつかない理由はあるのだろうか?
筆者は、日本でセルフ給油が解禁される頃、アメリカから輸入したキャップレス給油口に改造するパーツを利用していたことがある。改造といっても純正のキャップを、フラップ型のタイプに変えるだけのシンプルなものだった。
それでも、給油のたびにキャップを外したり、締めたりという行為が不要になるのは、想像以上に手間を省くことになると実感した。使い始めた頃は「ガソリンが漏れてきたり、匂ったりするとイヤだなあ」と思っていたが、後付けパーツでもそうした問題は起きなかった。むしろ、ガソリン給油時にキャップを付け忘れるというリスクがなくなるメリットのほうが大きいと感じた。
ともかく、セルフ給油で給油ノズルをそのままスッと刺せる利便性は大きく、この手のキャップが増えていくだろうと予想したものだ。もっとも、その予想は外れ、前述したように国産車での採用例は増えないままとなっている。