スープラは複数メーカーの車両を受託生産する会社で作られている
トヨタから復活したスープラの納期が非常に長くなっています。2019年6月の時点でオーダーを入れたとしても、工場出荷は2020年2月と半年以上先(2019年7月11日現在)。
その理由として「グローバルモデルとして海外の工場で生産していること」が挙げられています。多くのファンならご存じのように、新型スープラはトヨタとBMWの協業によって生まれたスポーツカーであり、その生産は海外なのです。しかも、それはトヨタの工場ではありません。ですから、トヨタの都合で増産することは難しいのです。
では、新型スープラはBMWが作っているのでしょうか? そうではありません。オーストリア・グラーツに拠点を置く「マグナ・シュタイヤー」によって生産されています。同社は、自社ブランドを持たない完成車メーカーなのです。しかも、100年もの歴史を誇る老舗。
古くから自動車メーカーではカバーしづらい少量生産を得意としてきました。といっても累計では350万台もの生産実績を持つといいます。また、マグナ・シュタイヤーはクルマを製造するだけではありません。エンジニアリングやテストといった部分でも委託を受けています。
しかし、けっして特定の企業と深い関係にあるわけではありません。さらにいえば、エンジン車だけを得意としているわけでもありません。電気自動車やハイブリッドカーなども受託生産することができるのです。実際、現時点でも新型スープラのほか、プラットフォームを同じくするBMW Z4を生産しています。
さらにBMW 5シリーズ、メルセデス・ベンツGクラス、ジャガーIペイス/Eペイスは、マグナ・シュタイヤーによって作られています。つまり、どこか一社やどれか一台だけが急に生産計画を変えるというのは現実的ではないのです。