ますます厳しくなる燃費基準と電動化! 運転者の心を昂ぶらせる「クルマの音」はもう楽しめないのか (1/2ページ)

あのAMGでさえ電動化を推進している

 国土交通省と経済産業省により、2030年の新たな燃費基準がパブリックコメントを経て決定されようとしている。求められる燃費性能は、1リッターあたり平均25.4kmという数値であり、2016年に対し32.4%の改善となる。

 この燃費水準は、2021年から欧州で開始されるCO2排出量規制(95g/km)の燃費換算値である約24km/Lに近く、相当に高い水準の燃費性能が求められることになる。だが欧州では、2030年にはCO2排出量規制がさらに厳しさを増す合意がなされており、約39km/L(60g/km)となる予定なので、日本の燃費規制は欧州水準から大きく後れをとることになる。この39km/Lは、トヨタ・プリウス級の水準であり、大柄なSUVや4ドアセダンなどの燃費をこれに近づけるのは並大抵ではない。

 現実的にその燃費性能を新車一台一台が達成できないとしても、企業平均で求めるのが欧州規制であり、小型車はほぼ排ガスゼロ、大型車もかなり高水準の燃費を実現でなければ企業平均での達成は無理だ。なおかつ、欧州規制の場合は、達成できないと反則金が課せられる。その点でも、優遇税制や補助金などでの奨励しか行わない日本と比べ、欧州は低燃費、すなわちCO2排出量規制に対する意識が格段に厳しい。

 2年後に要求される2021年規制へ向けても、欧州の自動車メーカーでは電動化によって基準を達成しようとの動きがあるのはすでに承知のことだ。この規制は、ディーゼルエンジン車でも達成が難しいからだ。

 電動化が進むに従い、モーターのみで走る電気自動車(EV)とまではいかなくても、ガソリンエンジンを高回転で回すような排気音を楽しむことは難しくなるかもしれない。たとえば、現在のメルセデス・ベンツのAMG車でさえ、電動化を加えたパワーユニットを搭載し始めている。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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乗馬、読書
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