新たに48Vマイルドハイブリッド搭載グレードを用意
2011年に発売され、日本には2012年に上陸したレンジローバーのラグジュアリーコンパクトSUV・イヴォークは、コンセプトカーFRXのデザインをほぼそのまま市販車として再現した、デザインコンシャスな新世代レンジローバーとして世界中で注目され、センセーショナルを巻き起こし大ヒット。レンジローバーとしてはリーズナブルな価格設定もあり、現在、もっとも販売台数を伸ばしているレンジローバーの中核モデルになっている。
そんな世界で210以上もの賞を受賞した経歴ある、「デザインで選ぶユーザーがほとんど」というイヴォークが(もちろん、悪路走破性はレンジローバー基準)、8年ぶりにフルモデルチェンジを行い、日本でも2019年6月から販売されている。
新型はどこから見ても、コンセプトカーそのものの「イヴォークデザイン」だ。売れたクルマの2代目の宿命とも言えるキープコンセプトで、ワイド&ショートかつクーペライクな、引き算の美学と言えるデザイン理念を取り入れたエクステリアデザインが特徴的。ちなみにボディサイズは全長4380mmに対して全幅は1905mmもあるのである。
先代との見分けがつきにくい……というのは、実際、新型を目の当たりにした筆者も同感だが、プラットフォームは電動化に対応する、まったく新しいPTA(プレミアム・トランスバース・アーキテクチャー)を採用。ドアヒンジを除く99%が新設計となる。ホイールベースも20mm延長され、後席ニースペース、ラゲッジスペースの奥行き拡大にひと役買っている。
新型のハイライトはまず、パワーユニットだ。エンジンはすべて2Lターボで、P300のジャガー・ランドローバー初搭載となる48Vバッテリー、コンバーター、ベルトインテグレーテッドスタータージェネレーター(BISG)搭載の300馬力、MHEV(マイルドハイブリッド)仕様が新しい。そしてD180に積まれる180馬力のクリーンディーゼルターボ、純ガソリンターボのP200(200馬力)、おそらく日本における主力グレードなりそうなP250の249馬力などがそろい、ミッションはすべて9速ATとなる。駆動方式はもちろん、全車、レンジローバー自慢のAWDである。(写真はP250)
P300 MHEVには前後輪のトルク配分をシームレスに可変させるアクティブドライブラインを装備。通常は前後50:50のトルク配分だが、走行状況に応じてトルクを後輪左右、または前輪のみに配分し、オンオフを問わないハイレベルな走行性能を実現しているという。これはブレーキをつまむ、スバルなどのトルクベクタリングコントロールとは違う、トヨタRAV4に新採用された後輪左右のトルクを別々に制御(0~100)するトルクベクタリングコントロールと、4WDを必要としない場面で後輪への動力伝達を切り離し、燃費を向上させるディスコネクト機構を備えたダイナミックトルクベクタリングコントロールに近いものと言える。