じつはトヨタ以外にもエンジンを供給した実績がある
こうした関係について、ヤマハ発動機がトヨタより技術的に優れているからだ、という見方もあるが、単純にそうともいえない。ヤマハ発動機からすれば事業として展開している限りにおいては安定した受注というのは重要であり、ヤマハを含めた資本関係をトヨタと結ぶことで、事業の継続性を守っているという面もある。トヨタとしても数量が見込めない特別なスポーツエンジンはアウトソーシングすることで、社内人員リソースの有効活用につながる。長く続いてきたWin-Winの関係は、それがお互いに前提条件になっている部分もあるといえる。いまさら離れるわけにはいかないのだ。
また、ヤマハ発動機は前述したマリン事業において、船外機やマリンジェットに四輪用エンジンを利用している。オートモーティブ事業がなくなってしまうと、ほかの事業にも影響を及ぼしてしまう、エンジンの開発・生産事業の継続性は重要だ。
資本関係があるとはいえ、ヤマハ発動機は完全にトヨタの傘下というわけではない。同社のオートモーティブ事業では、過去にフォードやボルボへV8エンジンを供給していたという実績もある。フォードのSHO V6エンジンもヤマハ発動機の手によるものだ。また、チューニングパーツとしても知られる「パフォーマンスダンパー」もヤマハ発動機オートモーティブ事業の製品として知名度を高めている。