【試乗】ジープ・ラングラーの最強モデル「ルビコン」が見せた圧倒的な悪路走破性能! (2/2ページ)

急坂や悪路でも一般公道のような快適な乗り心地を披露

 次は最大斜度24度の泥濘登坂路にアタック。降り続く雨により路面は歩行困難なほどに滑りやすく、見た目の斜度も崖のようにきつい。しかし、ルビコンは苦もなく登り切る。ここではトラクションコントロールをオフにし4輪を空転させながら勢いをつけて登ることができ、3.6リッターエンジンの余裕のトルク特性も奏功した。頂上のタイトターンを曲がるにはステアリングをロックまで切り込む。最大舵角が40度にも及び、カタログ値以上に小回り性がよく感じられる。

 登りの次は下りだが、ここでは「ヒルディセント」機能が威力を発揮。スイッチをオンにするだけでドライバーはアクセルペダルもブレーキペダルも操作する必要がなく、ステアリングに集中できるのだ。さらに速度制御はシフトレバーをマニュアル操作すると1〜8km/hの間で自由に選択できるという機能も備わっている。岩場でもステアリングへのキックバックがなく安心して走行でき、残るダートのハンドリングコースは一般路? と感じさせるほどの安定感で走破した。

 ルビコンにとっては今回のコース設定でもまだ余裕があり過ぎるほどだった。なぜなら前後デファレンシャルロック機能を使わずに走破することができてしまったからだ。また渡河性能の高さも誇るべき部分だが、今回はコースに設定がなかった。この日のためにJeepから派遣されて来日していたエンジニア氏によれば、フロア下の防水性は完全で70cmの渡河も楽勝だという。

 河川の氾濫など市街地でもクルマが水没するケースが増えていて、高速道路下のアンダーパスなどで水没して走行不能になるような事態も各所で起きている。もちろんJeepに乗っているからと自らそのような場所へ走り入ることは御法度だが、万が一、そんな場面に直面したとしたらルビコンの走破性の高さは安心感に繋がる。

 唯一の不満点は右ハンドル仕様のため左足の置き場が狭いことだ。左ハンドルなら問題ないが、右ハンドル仕様ではミッションとトランスファーケースの出っ張りが大きくフロアスペースを犠牲にしてしまっている。エンジニア氏にはその改善をお願いしておいた。

 また、今回の試乗車にはBFグッドリッチ社のマッドテレインKM3タイヤが装着されていたが、標準タイヤでも充分な走破力と感じた。

 じつは最近Jeepラングラーに2リッター直4ターボエンジンを搭載した「スポーツ」をお借りして日常的に試乗している。2リッターターボでも必要十分以上のパワーとトルクがあり気に入っているが、北米では設定があるという2リッターターボの「ルビコン」を日本へも導入してほしいと合わせてお願いしておいた。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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