労災予防や生産性の向上には自動化が向いている
自動車の生産工場といえば、小学生の社会科見学では定番のひとつで、見学したことがあるという人も多いのではないだろうか。そして自動車の生産ラインといえば、多くの人が働いている映像を思い浮かべることだろう。
とくにトリムラインや組立ラインと呼ばれる内装などを取り付ける工程では、まだまだ人の手による部分が多い。はたして、自動車工場は無人の完全自動化は不可能なのだろうか?
完全自動化で無人の自動車工場があるという話は寡聞にして知らないが、最新の自動車工場が目指しているのは完全自動化であることは間違いない。国内でいえば、ホンダの寄居ファクトリー(埼玉県)は、かなり自動化が進んでいる。サスペンションやタイヤの取り付けも人力を使わずに完全機械化されているほどだ。
また、海外ではアウディが電気自動車「e-tron」を組みたてているブリュッセル工場(ベルギー)もかなり機械化が進んでいるという。
では自動化・機械化を目指すモチベーションはどこにあるのか。ホンダ寄居工場取材時に、同社取締役級の人物に伺ったところ「労働災害、すなわち社員のケガをなくすことが最大の目的です」と教えてもらったことがある。
クルマの生産現場というのは、非常に危険な面がある。可能な限り、危険なシチュエーションから人間を遠ざけることで労働災害をゼロにするというのは、ものづくりをしている企業にとっての目標なのだ。またケガではなくとも肉体的な負担を軽減することも機械化を進める狙いとなる。
前述のタイヤについていえば人力で持ち上げて装着するといった作業を一日中やっていては体力を消耗するし、腰などを傷めかねない。労働環境の整備には、自動化は欠かせない。