「リムジンインテリア」と名付けられた内装をもつクルマも
2)トヨタ・プロナード(および前身モデルのアバロン)
トヨタの北米市場向けセダンで、生産も北米なので日本では輸入車扱いとなった。アメリカ的な大柄ボディのFF車ということで後席空間が極めて広く、後席の快適性だけなら、当時のセルシオやマジェスタなどのトヨタの最高級サルーンを凌駕するものだった。内装の内張りなどの質感はそれほど高くないが、シートは昔のアメリカ車っぽく、やや大柄でソフトなクッションを採用。乗り心地もソフト路線なので、日欧の高級サルーンにはないおおらかな雰囲気が魅力的だった。
スカイフックTEMSと呼ばれる減衰力可変式のダンパーは、変化の幅がとても大きいのが特徴。ソフトよりにすると往年のアメ車を思わせるほど柔らかく、船のような乗り心地となるが、強めに設定すると揺れの収まりは良くなり、意外と山道でもしっかり走れるようになる。
後席の居心地そのものは、可変式のダンパーではないプロナードの前身アバロンのほうがより快適だったが、前述したプロナードの独特の味わいも忘れがたい。
3)ホンダ・アヴァンシア
アコードよりも高級で、広くて快適な後席空間を強く意識して作られたワゴン。内装に「リムジンインテリア」と名付けたところからも、後席の快適な空間作りにこだわったことがわかる。
ボディの全幅は1800mm前後、ホイールベースは2765mmで、1999年当時の日本車としては輸入車なみに大きなサイズ感だが、乗り込むと、室内空間はその数値以上に広さを感じさせた。後席のスライドとリクライニングは連動して調整できるなど、後席乗員の快適性向上の工夫が随所に見られる。
これもかなりの力作だったが、ミニバン全盛時代を迎えるにあたり、一般的なユーザーには同じホンダのショールームに置かれるオデッセイなどのほうが商品としてわかりやすく、販売は低迷。
不人気ゆえ中古車物件も少ないものの、ミニバンは嫌だが後席が広くて使いやすいクルマが欲しいという人は、今から手に入れても悪くない。