履き替えにも苦労するのになぜ? スポーツカーが前後で異なるサイズのタイヤを履いている理由 (1/2ページ)

電子制御を含めた前後のバランスが重要になっている

 コンパクトカーや普通のセダンの場合、前後のタイヤは同サイズというのがスタンダードだが、F1をはじめとするレーシングカーや、本格的なスポーツカーでは、フロントタイヤより、リヤタイヤを大きくするのは珍しくない。

 ハイパフォーマンスカーでも、4WDモデルは前後同サイズのクルマも多いが、後輪駆動の本格スポーツカーは、前後のタイヤサイズが違うことが半ば標準化してきている。

 たとえば、F1マシンはフロントのタイヤ幅が305mm、リヤは405mm(前後とも13インチ)。新しいスープラ=GRスープラ(RZ)もフロント255/35-19・リヤ275/35-19と前後異なるサイズのタイヤを履く。

 その理由は簡単にいえば、前後のタイヤが受け持つ仕事量に差があるから。前記のGRスープラを例にすると、後輪だけで340馬力のパワーを地面に伝えなければならないので、後輪を太くしてトラクションを確保するべく、仕事量に見合ったサイズにしているというわけ。

 一方、後輪駆動車のフロントタイヤは駆動力がかからず、操舵力を伝え、荷重を支え、制動力を伝えるのが主な仕事なのでリヤタイヤほどのキャパはいらない。

 タイヤは太ければ太いほどいいわけでなく、ステアリング感覚やワンダリング、乗り心地などは、細いタイヤに分があるし、バネ下重量の軽減にもなるので、後輪駆動のハイパワー車のフロントは、やや細めのタイヤを履いて、前後のバランスをとるようメーカーは設計している。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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