なぜ増えている? 最近のスポーツモデルが4本出しマフラーを採用するワケ (2/2ページ)

イマドキの空力処理を考えると複数テールが理に適っている

 太いテールエンドを実現するには、オーバーハングに位置するサイレンサーも巨大化してしまう。そうなるとサイレンサー部分の地上高が低くなってしまい路面と干渉しやすくなる。また、いまどきのスポーツカーでは床面の空力特性も重要で、マフラーサイレンサーも空力を意識した形状になっていることは珍しくない。

 さらにディフューザーとの組み合わせも考慮しなければいけない。そうなるとサイレンサーも薄めの形状になる。そこから生えるテールエンドパイプの径もサイレンサーのサイズに影響を受ける。つまり大径テールエンドにするにも限界がある。

 こうしてレイアウト的にパイプ径が限られた中で、出口面積を広く(≒スポーティの表現)しようとすると、テールエンドの数を増やすというソリューションが選択されることになるのだろう。というわけで、メーカーを問わず4本出しのテールエンドを持つマフラーが増えてきているように感じるのかもしれない。

 ただし、最近ではバンパーにマフラーガーニッシュをつける(アルピーヌA110やホンダNSXなど)ことで実際よりもテールエンドを大きく見せるといった演出も生まれている。

 いずれにしても、マフラーとしての機能性だけでなく、スタイリングや空力性能とのマッチングによってテールエンドの形状や意匠は選ばれる面がある。その中で、4本出しという手法が、オーソドックスでわかりやすいのは事実だろう。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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