イマドキの空力処理を考えると複数テールが理に適っている
太いテールエンドを実現するには、オーバーハングに位置するサイレンサーも巨大化してしまう。そうなるとサイレンサー部分の地上高が低くなってしまい路面と干渉しやすくなる。また、いまどきのスポーツカーでは床面の空力特性も重要で、マフラーサイレンサーも空力を意識した形状になっていることは珍しくない。
さらにディフューザーとの組み合わせも考慮しなければいけない。そうなるとサイレンサーも薄めの形状になる。そこから生えるテールエンドパイプの径もサイレンサーのサイズに影響を受ける。つまり大径テールエンドにするにも限界がある。
こうしてレイアウト的にパイプ径が限られた中で、出口面積を広く(≒スポーティの表現)しようとすると、テールエンドの数を増やすというソリューションが選択されることになるのだろう。というわけで、メーカーを問わず4本出しのテールエンドを持つマフラーが増えてきているように感じるのかもしれない。
ただし、最近ではバンパーにマフラーガーニッシュをつける(アルピーヌA110やホンダNSXなど)ことで実際よりもテールエンドを大きく見せるといった演出も生まれている。
いずれにしても、マフラーとしての機能性だけでなく、スタイリングや空力性能とのマッチングによってテールエンドの形状や意匠は選ばれる面がある。その中で、4本出しという手法が、オーソドックスでわかりやすいのは事実だろう。