内装やボディカラーもSUVらしさをとことん追求
エクステリアと並行して、インテリアデザインも進められた。
「インテリアのコンセプトも、エクステリアと共通です。SUVとしてのワクドキを訴求する強い骨格や機能性、ディテールを兼ね備えつつ、洗練・上質感にも強くこだわっています」(園田さん)
骨太なコンソールと低くて水平なインパネの組み合わせが印象的なインテリアでは、操作スイッチなどの本物感についても徹底的な追求が行われた。インテリアデザイン担当の筈箕三郎さんにうかがった。
「たとえばダイヤルも、握りやすい大きさや、操作しやすい形状など、数多くの試作品を作って模索しました。見た目の重量感や、操作したときにしっかり感じられる手応えにもこだわっています。らせん状の斜めのラインは、意匠としてもシンボリックですし、冬季にグローブをつけたままでも操作しやすいメリットもあります」
ダイヤルのらせん状の切れ込みが入ったデザインは、じつはそのままでは成形の際に型から抜くことができない。実際このダイヤルも、6個に分割して成形されている。手間もコストもかかるデザインだが、それでも実現させたのは、デザイナーたちのこだわりの強さの証と言えよう。
カラーデザインについても、他車種とは違う独特なプロセスが採用されている。カラーデザインは年々その重要度が増しており、一般的な開発では、造形をさらに際立たせることを目的とした新規色の開発などが行われているが、今回はさらに一歩踏み込み、コンセプトの立案段階からカラーデザイナーも参画、造形とボディカラーが一体となったデザイン開発が行われている。カラーデザインの担当は山岡正和さんだ。
「新開発カラーであるアーバンカーキも、このクルマのイメージを牽引し、キャラクターをより際立たせることのできる色を目指して、ボディのカタチができる前から開発を進めてきたものなんです。内装についても、たとえばアドベンチャーのアクセントカラーであるオレンジは、その色が使われる部分の太さや断面などについて、色に合わせた最適な寸法の造形を模索しています」
新型RAV4の内外装デザインの特徴のひとつは、個性的なデザインモチーフや、独自性の高い細部の造形処理などがふんだんに盛り込まれているにも関わらず、全体としてひとつにまとまったシンプルな印象を感じさせることだ。ボディサイドもあらためて見てみると、ハイライトを踊らせる面がいくつも組み合わされ、しっかりとしたキャラクターラインも通っているのに、決して見た目にビジーな印象を与えず、さらには限られた面積のなかで豊かな張りのある断面をしっかりと実現していることに気付く。ひとつひとつのディテールはきわめて存在感が強いのに、全体としての統一感が感じられるのは、奇をてらった装飾性に頼っていないことが大きな理由のひとつだろう。
「お客さまはどんな使い方をするんだろう。そんなふうにいくつものシーンを思い浮かべながら、素材を決めたり、断面を作ったり、形を作り上げたりしたんです。たとえ通勤に使っていても、週末のワクドキが感じられること。単なる移動のための空間ではなく、心を躍らせてくれるクルマにすること。毎日使うクルマなら、やっぱり奇をてらったデザインにはしたくない。じつはそれがわれわれの一番のこだわりだったかもしれません」(園田さん)
異例とも言えるエクステリアの決断をはじめ、数多くの高いハードルを乗り越えて作り上げられた新型RAV4のデザイン。それはワクドキというクルマ本来の愉しさをピュアに追求したデザイナーたちの努力の結晶と言えるだろう。