テストコースでは確認できない内容もある
新車スクープといえば、縞々やドットなどでカモフラージュ(擬装)されたクルマの写真がおなじみだ。擬装している理由は、ボディの面をわかりづらくするためで、新型車の姿を隠したいからにほかならない。しかし、見せたくないのであればテストコース内を走っていればいいだろうに、擬装してでも公道を走るには何か理由があるのだろうか。
クルマの開発や試作にはいくつもの段階があるが、擬装しているほど隠さなければいけない状態というのは、ほぼ市販に近づいた状態といえる。その段階であれば、基本的な走行性能や耐久テストは完了しているとみていい。いくら開発車両といっても、いつ止まるともわからないような状態で公道に持ち出すとは考えづらい。しかし、公道でなければ確認できないこともあるから、ある程度のリスクを負ってでも公道試験を行っている。
その代表例といえるのが、夏場の首都高の渋滞だ。走行風が期待できない渋滞で、なおかつエアコンをフル稼働するようなシチュエーションというのは冷却系に厳しく、オーバーヒートを起こしかねない。日本で販売するクルマにおいて、「夏場の渋滞ではオーバーヒートの可能性があるのでエアコンを使わないように」などと但し書きをつけることはあり得ないだろう。そのため、輸入車などでは積極的に公道試験を行い、冷却系の性能を確認している。