もとの状態に叩いて戻したり職人技が求められた
ぶつけたときにお世話になるのが板金だ。そもそも板金とはなにか? 改めて考えてみよう。ちなみに板金塗装とひとつで語られることが多いが、本来は別物。現在ではひとりですべてやることが当たり前になっているが、作業内容が違い職人さんも別。その昔は同じ店にしても、板金と塗装は別部門で、被ることはなかった。「板金が完了したから、あとはペインターに回す」のような会話が聞かれたし、現在でも大規模な老舗では分業していることもある。今でも両方ともやっている職人さんに聞くと「もともとは板金出身」と返ってきたりする。
話を戻して、板金の意味としては「板を叩いて形を作る」ということで、金属の板を扱うから鈑金と書くこともあるが、鈑の字が常用漢字にはないので板を使っている。工芸品でも使われる言葉だが、クルマの場合は、ご存じのようにボディのヘコミを直すことだ。
基本的な作業としては、凹んだ部分を裏から叩いて、平らにするのがメインだ。ハンマーとドーリーという当て物を使って均していくが、ときにはフックを溶接してスライディングハンマーと呼ばれるツールで引っ張りだしたり、ハンマーが入りやすいようにパネルを外したり。また、伸びてしまった部分をバーナーであぶって、急速に水で冷やして縮めて絞るなど、そのテクニックは多岐に渡る。