異なる4WDシステムを設定! 運動性能にトコトンこだわった新型トヨタRAV4のメカニズム (3/4ページ)

ドライバーの感性を重視した走りのよさと快適性を高い次元で両立

 SUVとしての高い運動性能を実現するため、新型RAV4はシャシー、サスペンションともに新設計となった。プラットフォームはTNGA思想で設計されたKプラットフォーム。基本的にはカムリと同じもので、SUV化による車高アップ、大径タイヤ対応、乗員の着座位置や各ユニット(エンジン、バッテリー、燃料タンクなど)の搭載位置の最適化が図られている。

 サスペンションは、フロント:マクファーソンストラット、リヤ:ダブルウイッシュボーンと形式こそカムリと同じだが、それぞれRAV4用に新設計されたもの。

 フロントサスペンションは、ロアアームが動く方向に合わせて支点となるブッシュの位置を最適化し、またコイルスプリングの伸び縮み方向軸を車輪のキングピン角度に近づけることで、伸び縮みの際にダンパーにかかる横方向の力を軽減し、サスペンション全体のフリクションを低減している。

 アッパーマウントのベアリングは操舵時のストラット自体の回転方向に合わせるため、キングピン軸とほぼ同軸に配置している。ダンパーに関しては、リバウンドスプリングを採用することによって、オフロード走行時に必要なストロークを確保しながら、オンロード走行時のロール特性を最適化し、車両安定性を高めている。

 リヤサスペンションは、従来車同様に縦方向のトレーリングアームを持つダブルウイッシュボーンだが、トレーリングアームの前端部・ボディ側取り付け点を上方配置し、さらにブッシュを大径化することで振動を軽減。また、ダンパーの取り付け角度を車輪のストローク方向に近づけることで、フリクションや段差に乗り上げた際のショックを軽減し、乗り心地の向上につなげている。

 ボディに関しては、Kプラットフォームの採用により、従来車に比べて8kgの軽量化を果たしながら、1.6倍の剛性を確保。また、燃料タンクを後席フロア下に左右に振り分ける鞍型に変更(ハイブリッド車ではその上にバッテリーを配置)することで、背の高いSUVでありながら低重心化を実現している。そして、こうした基本ディメンションの最適化とともに、オンロード・オフロードのどちらでも高い操縦性と乗り心地を実現するために、ボディ各部の剛性を高めている。

 まず、旋回時の応答性を高めるために、フロントダンパーの上側取り付け点周囲の剛性をアップ。ストラットタワーとフロントカウル、カウルサイド(縦方向パネル)を接合するパネルを、左右ストラットタワーをつなげる形で装着。さらにカウルサイド自体も補強パネルを重ねて結合することで剛性を高めている。

 ボディ後部では、剛性面で不利となるハッチバック形状ということもあり、バックドア開口部の左右上部を中心に補強。開口部沿いに断面を大きく取り、さらにリヤピラー内部には高剛性発泡材を追加。また、後輪軸の真上に骨格を持つ環状構造のボディに加え、この骨格にフロア側からガセットプレートを追加することで、ホイールハウスも含めて強化。旋回時などに発生するボディのねじれを抑制している。ボディ全体ではフロアパネル、サイドパネルの各部に構造用接着剤を使用することで、パネル全体の結合剛性を高めた。

 ボディ関連では、安心感・信頼感のある室内空間を実現すべく、静粛性の向上、ロードノイズの低減が図られた。フロア全体の消音材面積を拡大し、静粛性をアップ。ダッシュボードはパネルの開口穴を減らし、開口面積も小さくしてエンジン音を遮音。さらにホイールハウス内に吸音材を配置したり、アッパーボディのルーフやピラーを中心に発泡材を配置することで、ロードノイズの侵入も抑制している。SUVでは荒れた路面を走ることもあるが、そういったシチュエーションでも優れた静粛性を発揮する。


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