「公差」を小さくするほどコストは上がる
日産GT-RのVR38エンジンが、少数の専門スタッフによる手作業で組まれていることが知られているが、そういう手間ひまをかければ、公差をとても小さく設定できるため、エンジンの当たり・はずれは最少にできる。その代わり、それは当然コストに跳ね返るというわけだ。
1万個もあるパーツを、それぞれ1/100mm単位までこだわって作り、測定し、それを熟練の技術者が組んだら、エンジンだけで数百万円になってしまう。レース用エンジンのチューナーがやっている作業がまさにそれ。
一般ユーザーでも、高い技術を持ったチューナーのところにオーバーホールをお願いすれば、純正パーツだけで組んだエンジンでも、「大当たり」のエンジンに組み直すことができるのはそういう理屈。
もちろん、パーツの公差だけでなく、組み付け精度、エンジンのエイジング(ナラシ運転)の仕方などによっても、エンジンパワーには差が出てくるので、エンジンの当たりはずれは、一概にメーカーのせいとは言い切れない。
ただ、製造公差があるからこそ、適正な価格で高性能なエンジンがこれだけ流通しているわけなので、縁あって自分の愛車に搭載されたエンジンは、他人のエンジンとは比較せずに、大事に、そして元気よく回してあげればいいのではないだろうか。