トヨタ新型ハイエースは超巨大化! 今のうちに4ナンバーの現行モデルを買っておくべき? (2/2ページ)

現行ハイエースで不足しているところは見当たらない

 また海外向けのハイエースは、エンジンを前席よりも前側に搭載するミニバン的なレイアウトだから、前席の下に収める日本仕様に比べて空間効率が下がる。従ってボディの大柄な海外向けを日本で売っても、売れ行きを伸ばすのは難しい。

 そして4ナンバーサイズのハイエースは、ボディサイズの割に荷室が広くフラットで使いやすい。まさに日本向けの商用バンだ。エンジンが前席の下にある後輪駆動車だから、着座位置は高いが、シート形状はスムースに乗り降りできるように配慮されている。その上でシートは腰をしっかりと支えて座り心地に配慮した。インパネも機能的で見やすい。

 さらに商用バンなのに乗り心地の粗さを抑え、とくにスーパーGLは柔軟だから長距離を移動しても疲れにくい。これらの特徴がハイエースの評判を高めた。

 過去の実績も見逃せない。30年くらい前のワンボックスバンは、1輪だけ歩道に乗り上げて駐車すると、車種によってはスライドドアの開閉が困難になった。ボディが捩れるからだ。平地で暫く走れば元に戻ったが、スライドドアを使えないと作業性が悪い。

 この点でもハイエースは、ボディが捩れにくかった。商用バンを使う人たちの間で「選ぶなら耐久性の優れたハイエース」という評判が立った。そうなるとユーザーは、よほど嫌なことがない限り、次のクルマもハイエースを選ぶ。従って需要が安定的に続くわけだ。

 現行型を含めて高値で売却できることも、ハイエースの人気を高めた要因だ。海外でも人気車だから活発に輸出され、売却額を押し上げる。トヨペット店のセールスマンは「商用車は使われ方が粗いから、通常は乗用車に比べると数年後の価値が大幅に下がる。ところがハイエースは、5年後でも新車価格の60%で売却できることがあり、きわめて条件が良い。20万kmを走った10年落ちの車両など、通常は価格を付けられないが、ハイエースなら買い取りの対象になる。そうなるとお客さまは、次のクルマも必ずハイエースを選ぶ。商用車は法人のお客さまの資産に含まれるから、高値で売れることはきわめて魅力的だ」と説明した。

 最近は「トヨタにしておけば間違いない」という話を聞くことが少なくなったが、ハイエースについては健在だ。今ではハイエースがトヨタにとって一番大切で信頼できる代表車種になっている。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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