色味の違いや無駄な分割線を極力排除! 視覚的効果でも上質感を高めた新型MAZDA3の職人技 (1/2ページ)

人間の目が違和感を感じないようわずかなつなぎ目もなくした

 新型マツダ3には新世代「魂動デザイン」として、日本の伝統的な美意識「引き算の美学」に基づき、不要な要素を削ぎ落としたシンプルかつ優雅なデザインが、外観だけではなくインテリアにも与えられている。だがこれは、単に造形の美しさだけによってなしえたものではない。操作しやすく上質な感触を得られ、運転に集中しやすい環境を構築するための「クラフトマンシップ」があってこそのものだった。

 マツダ3の室内において、「クラフトマンシップ」はありとあらゆる部位に注ぎ込まれているが、その最たるものはやはりインパネだろう。ひと言で言えば、ノイズが少ないのだ。

 人間の目と脳は非常に識別能力が高く、大きさと色、形状に大きな違いはないにも関わらず、100円硬貨の山の中に1枚だけ紛れている1円玉を見つけることも、決して難しいことではない。裏を返せば、わずかに異なるものが視界に入るだけで、その存在をつい意識してしまう。

 これがクルマのインパネの場合はどうか。スピーカーやエアコンのグリル、ヘッドアップディスプレイ(HUD)の穴は言うに及ばず、各パネルの分割線、さらにはパネルごとの色味や質感の違いがあればあるほど、それらは視覚的ノイズとして捉えられ、煩わしく感じられるばかりか「このインパネは質感が低い、安っぽい」という評価にもつながっていく。

 そこで、各部品の小型化や一体化で分割線を減らしつつ、各グリルやHUDの位置を変更することで、インパネ上の視覚的ノイズを大幅に削減。デザインの優雅さと各装備の機能を落とすことなく質感を向上させた。

 また、インパネ上に設置されるHUDはメーターフード、BOSEサウンドシステムのセンタースピーカーは、8.8インチワイドセンターディスプレイの背後に配置。さらに「HUDとスピーカーが運転席からは見えないが、メーターフードとディスプレイ自体も前方視界の妨げにならない高さに設計した」(マツダ車両開発本部車両実研部クラフトマンシップ開発グループマネージャーの福井信行さん)ことで、設置およびパネルの分割が不可避な部位も視覚的ノイズにならないよう配慮している。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

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