若年層対策として名の知れたジェッタの名称を使ったか
中国市場での初代ジェッタは中国の多くの都市でタクシーとしても活躍したモデルであり、一汽大衆の地元天津に近い北京でも、北京現代のエラントラや、東風シトロエンのCエリッセなどとともにジェッタタクシーが多く走っていた。筆者は懐かしさも手伝ってジェッタタクシーが大好きで、好んでよく乗っていた。
ジェッタブランド立ち上げについての、一汽大衆のウェブサイトのリリースを見ると、ジェッタブランド立ち上げの理由として若年ユーザーの獲得という側面があるとの表記があった。
中国の自動車市場はいまや世界一となった。日本市場に比べれば一般消費者のクルマに対する視線には“熱い”ものがあり、市場も成長鈍化傾向にあるとはいえ、まだまだ中国全土では伸びしろがあると考えられている。しかし、そのような市場環境下でもすでに沿岸大都市の富裕層の子女を中心に、ライドシェアが普及していることもあり、クルマへの興味が薄れてきているとされている。しかも、中国でメジャーブランドとされている、GMやフォルクスワーゲンなどはすでにユーザー年齢層自体も高まっているとされ、若者離れが懸念されているとされている。
ただ若年層へ向けたとしても、いまどき合弁自主ブランドを立ち上げるにしても、BEVをはじめとしてPHEVやHEVなどの電動ユニットが搭載されていないのも、一汽大衆の動きがなかなか読み取れないところとされている。中国民族系大手でも新ブランドの積極投入を行っているので、若年層の開拓や、消費者への購買意欲の刺激などにのための新ブランド立ち上げというのもジェッタ立ち上げの理由のひとつと考えられる。
自動車市場の急成長により、あっという間に世界一となった中国の自動車市場は、BEVなどの普及に代表されるように、日本では考えられないようなスピードでダイナミックな動きを日々見せている。このジェッタブランドも今後“大化け”する可能性は十分秘めているといえよう。