元々はゴルフの4ドア版セダンの名称として世界的に有名
フォルクスワーゲンの中国での現地合弁会社のひとつで、中国一汽との合弁会社となる“一汽大衆”は3月22日に合弁自主ブランドとなる“ジェッタ(JETTA)”ブランドを正式発表した。合弁自主ブランドとは、外資との合弁会社が立ち上げるオリジナルブランドとなり、中国で現地生産される外資モデルがベース車両となっている。
合弁自主ブランドでの成功例としては、東風日産の“啓辰(ヴェヌーシア)”を挙げることができる。当初は現地生産されていた初代ティーダ(ハッチバック/ラティオ)をベースにしたオリジナルモデルから始まり、いまではSUVやMPVなど多彩なラインアップとなっている。日系ブランドでは広州ホンダが合弁自主ブランドとして“理念”を展開しており、いまはBEV(バッテリー・エレクトリック・ビークル)となるSUV“VE-1”がラインアップされている。
合弁自主ブランドは外資モデルではなく、“中国車”として取り扱われることになり、政府のインセンティブなどをより有利に受けられるところにメリットがあると聞いたことがある。そのためもあるのか、初代日産リーフは中国市場では啓辰ブランドで販売された。日系以外では上海汽車とGM(ゼネラルモーターズ)の合弁会社“上海通用(通用はGMの意味)五菱汽車”の“宝駿(バオジュン)”ブランドが啓辰と並んで、合弁自主ブランドでは成功したものとして有名となっている。
合弁自主ブランドの創設は10年ほど前に、各合弁会社で積極的に行われていたので、ここへきて一汽大衆がジェッタブランドを立ち上げたことには、“どのような思惑があるのだろうか?”という話が上海ショー会場で多く聞かれた。
このジェッタはフォルクスワーゲン・ゴルフの4ドア版となる車種の車名として、いまも世界市場で使われている。中国市場では途中で大きなモデル変更はあったものの、世界市場では1984年から1992年の間世界市場で販売されていた2代目が、中国市場では初代として一汽大衆において1997年から2013年まで現地生産および販売されており、いまはその2代目が販売されている。
ブランドとしてのジェッタを立ち上げておきながら、いまも一汽大衆のウェブサイトには現行モデルとしてジェッタがラインアップされているという不思議な状況にもなっている。