目指したのは先進性と洗練度を高めた心地いい室内空間です
インテリアについても見ていこう。デザインキーワードは、「清々しい豊かな空気感」「心踊る、わくわくする」「賢く、きちんと、こざっぱり」の3つ。インテリアデザインマネージャーの松尾才也さんは次のように語る。
「特徴的なインパネも、デザインキーワードに基づいてデザインしたものです。横一杯に伸びた形状は上と下を分けて、上部分は車両前方にオフセットさせています。各種収納は下の部分に集めて、『見せる収納』と『隠す収納』をインテグレーションさせています。なおかつインパネのアッパー部分をフローティングした形状とし、その隙間にオープントレイを設けています」
運転中のドライバーの視界からノイズになるものを極力排除したい。そんな狙いのもと、メーターからフロントウインドウの下端まで広がる黒い部分について、面を傾けたり、造作物を排除したりなどの工夫により、ドライバーから極力見えないようにデザインされているのも見逃せないポイント。
「この黒い部分が広く見えると、クルマ全体が長く感じられ、心理的に運転しづらくなります。視界に入る面積を小さくすることで、運転時の安心感と空間の快適性の向上を狙いました」(松尾さん)
カラーデザイン担当の呉綾花さんも、インパネデザインをより美しく作り上げるうえで大きな貢献を果たしたひとりだ。
「華やかでいて、落ち着きもある。インテリア全体と調和しながら、けれど存在感はしっかり主張する。そんな相反する要素を両立させるための色域を模索し、トライ&エラーを何度も重ねました。たとえばハイウェイスターではインパネのカラーをネイビーにしていますが、あの色だけで50種類以上ものカラーを試作しています」
いつでもすっきりと美しく使える室内空間。そんな印象のインテリアデザインにも、軽自動車という限られたサイズゆえの苦労があった。そう語るのはインテリアデザイン担当のベラ・グレゴリーさんだ。
「限られた寸法のなかに、お客さまが求めているさまざまな装備、とりわけいろいろな種類の収納をスマートに入れ込むことが難しかったですね。加えて先代でも好評だった静電タッチパネルをどれだけコンパクトにできるかということも苦労した点です。今回は表示部分とスイッチの一体化にもトライしていますが、直感的に操作できるという機能性のよさだけでなく、見た目にも楽しいデザインを心がけました。グラフィックのバランスや文字、それらの配置にも徹底的にこだわっています」