最近はやりの超高張力鋼板は修理がむずかしい
どんなに気をつけていてもクルマをぶつけてしまうことはある。そうなれば、普通は修理をすることになる。手の平サイズぐらいならいわゆる簡易板金でもリペアは可能だが、ボディがベコベコになるような大きな修理となると、板金塗装が必須となる。この費用がいま、高騰中なのだ。
以前であれば、ヘコミを直して塗装した場合の料金の目安はパネル1枚3万円といわれていた。これなら自分で負担するにしても仕方がないか、とあきらめがつくレベルだが、最近はパネル1枚で10万円近くいくことも。もちろん程度によるのでそこまではかからないこともあるが、いずれにしても3万円で直せる時代ではないのは確かだ。その背景にあるのは一体なんなのだろうか?
まず素材が問題だ。超高張力鋼板は、いまや軽量化に欠かせないものとしてもてはやされているが、張りが強いために叩いて元に戻すのは非常にむずかしい。熟練した職人であれば直せるが、そこまでのレベルの人は滅多にいない。そのため修理するのではなく、パネルごと交換するのが最近の主流だ。
しかも、パネルを止めるために使う溶接機は専用のものでないとダメで、これがまた高いしそもそもいままでの溶接機が使えなくなるので、買い替えの負担が増える。そしてパテも超高張力鋼板専用を使わないとダメと、三重苦だ。