ゴーン氏騒動はルノーにとって時代に適合するチャンス
一方、自動車業界の大変革のために、ルノーは日産との経営統合が必然だと考えているのだと思う。
自動運転、パワートレインの電動化、コネクティビティ、そしてシェアリングエコノミーへの対応で、自動車メーカー各社は人材確保、設備投資などで早期に新規事業を立ち上げることが不可欠となっている。
そうしたなかで、企業としての生き残りをかけて、グループ全体での人的、または技術的な資産を再検証したうえで、効率的かつ将来性を重視した事業の組み換えが必要だ。
ルノーアライアンスである、ルノー、日産、三菱のなかで、技術的な資産をもっとも多く所有しているのは、明らかに日産である。それをルノーが、単なるアライアンスの仲間としてではなく、日産に対する主従関係として、技術開発に対する実効力を重視しようと考えた。
先述のように、ルノーが当初、経営統合について慎重かつ柔軟な姿勢を示していたのは、こうした技術案件について、日産に対するかなり詳細な内部調査を進めていたからに違いない。
以上のように、ルノーが日産に対して一気に攻め込んできた理由は、自動車業界全体の大変革トレンドのなかで、ゴーン元会長のスキャンダルがルノーにとって大きなチャンスとなったという事実を証明しているのだと思う。