ワイド化しながらも12kgの軽量化に成功!
ポルシェジャパンはフラッグシップモデルである911の新型を、2019年7月5日(金)より日本で販売することを発表した。
911は1963年に初代が誕生し、半世紀あまりを経て今回で8代目となる。ポルシェのなかでも代表的な車種であり、いつの時代もクルマ好き、スポーツカー好きの多くが憧れを抱いてきたモデルだ。
また特徴的なのは、登場からいままでRR(リヤエンジン・リヤドライブ)レイアウトを貫いていること。いまやほとんどのクルマに採用されなくなったRRを採用し続けながら高い走行性能を維持することができたのは、ポルシェの技術力の高さゆえだろう。
今回新型ポルシェ911がお披露目となった会場には「Timeless Machine」といったワードが随所に掲げられていた。ポルシェジャパン執行役員マーケティング部長の山崎香織さんによると、時代に左右されない、どの世代からも愛されるタイムレスなクルマというのが911の初代からのテーマで、今回の新型もこの「タイムレス」を突きつめて開発したのだそうだ。
事実、日本における初代から先代までの911保有率は3万2733台にも及ぶのだそう。日本は世界のなかでもとくに911ファンが多く、まさに世代を越えて愛されてきたのだ。
新型911のスタイルは、誰がみても911とわかるシンプルなデザインとしながら、従来は一部モデルのみだったワイドボディを全モデルに採用。前後輪のトレッドを拡大し、力強い印象としたのみならず、安定性をも高めた。さらにリヤホイールも21インチに大径化。4輪が路面を捉える能力を格段に向上しているという。
またスポーツカーとしての走りを損なわないため、ボディにアルミを多用し軽量化を実現。ボディ単体重量を先代より12kg軽い240kgとしながら、曲げ剛性、ねじれ剛性はいずれも5%向上させた。
リヤスポイラーなどの空力パーツは電子制御とし、走行安定性と燃費のバランスの最適化が図られている。
3リッター水平対向6気筒ターボエンジンであることは変わらないが、ターボチャージャーを大型化して過給圧を高めるなど手が加えられ、新型911の最高出力は450馬力/6500rpm、最大トルクは530N・m/2300-5000rpmとなった。これは従来型を30馬力、30N・m上回るものだ。さらにこの新エンジンの出力特性に合わせた8速デュアルクラッチトランスミッション(PDK)が初採用された。
これらの進化により、最高速度は従来比2km/hアップの308km/h、そしてドイツのニュルブルクリンクにおけるラップタイムは7分25秒と、5秒の短縮がなされている。
また注目すべきは、世界で初めて開発された技術、「ウェットモード」が標準装備された。これは路面の水を検知し、ドライバーに警告したり、PSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメント・システム)、PTM(ポルシェ・トラクション・マネージメント・システム)、エアロダイナミクスなどを適したモードに切り替える機能だ。
そのほかにも衝突安全ブレーキ、自動再発進機能付きアダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシストなど数多くの安全運転支援システムを採用する。また今回搭載されるマトリックスLEDヘッドライトは、周囲のドライバーを眩惑させることなく、広範囲を明るく照らすことを可能とした。
コネクテッド機能「Porsche Connect」もさらに進化。これによりスマートフォンによってドアの施錠状態や駐車位置の確認などができる。またナビゲーション、エアコン、オーディオなどを声で操作できるボイスコントロールも充実。さらに事故や故障の際にワンタッチで「ポルシェ アシスタンス」に接続できる機能も搭載する。
また発表会の場でポルシェジャパン代表取締役社長の七五三木敏幸さんからはゼロエミッションスポーツのタイカンが2019年9月初旬にワールドプレミア、日本では2019年内に発表され、2020年に導入予定であることが語られた。
そのほか、オーナーはもちろん、これからポルシェを手にしたい、乗ってみたいといった人がポルシェの走りを味わえる体験施設「ポルシェ・エクスぺリエンス・センター・ジャパン(PEC Japan)」が2021年、千葉県の木更津に開業予定となっている。
加えてポルシェはミレニアル層をメインターゲットとした独立型ブランドエキシビジョン「scopes Tokyo(仮)」を2019年11月に東京都・渋谷で約1カ月間限定開催することを発表した。ドイツ、オランダではすでに過去開催されており、これからを担う世代に向けて新たなブランド価値を発信する場となるという。
今回の改良で、911を911たらしめる要素は継承しつつも、シンプルでありながら力強いデザイン、また世界に認められるスポーツカーの走りに磨きをかけた新型ポルシェ911。
このクルマを手にできるのは一部の成功者……かもしれないが、今後さまざまな体験型施設やイベントも充実していくようなので、触れられる機会を楽しみにしたいところだ。