「3位は現状このチームでのベストリザルト」
そして、決勝レース。
14位スタートから琢磨は最初のピット・ストップを迎えるまでに3つポジションを上げていた。しかも、最も燃料をセーブ出来たため、2周に渡ってリード・ラップまで記録した。
だが、好事魔多し。右リヤ・ホイールの締め付けが悪く、再度ピット・インする羽目に陥った。これで順位は31位まで転落してしまう。しかし、琢磨は「500マイルの長丁場。諦めないでいこう」と気を取り直し、追撃を開始。
最後のリスタートの時点では5位まで這い上がっていた。ラスト14周、琢磨はリスタート直後のターン1でエド・カーペンターをアウトから抜き、続くターン2でジョセフ・ニューガーデンのインすらうかがう。バックストレートでカーペンターがインから抜き返そうとするも琢磨はターン3でアウトから車体を合わせサイド・バイ・サイドで押さえ切る。
さらにラスト9周でジョセフ・ニューガーデンをターン3のアウトから仕留めた。スタンドからは大歓声が上がる。あとふたり。トップのシモン・パジェノーと2位のアレクサンダー・ロッシの背後まで迫ったが、このふたりは速い。ロッシが残り3周でトップに立つも、残り2周のターン3でパジェノーが再びその座を奪い返した。
ファイナル・ラップ。ロッシが最後の力を振り絞ってバック・ストレッチで並ぼうとするのをパジェノーは強引に防ぐ。そして、シモン・パジェノーがインディー500初優勝を飾った。琢磨はその攻防に加わることは出来なかったが、トップからわずか0.3413秒差の3位に食い込んだ。
「ロッシに挑戦したかったけれど、届かなかった。パジェノーは王者の走りで500を制したと思います。心から祝福したいです。ターン3をアウトから行くのは一昨年、エリオ(カストロネベスとの戦い)から教わりました。(3位は)現状、このチームでベストのリザルトだと思います。最後は暑くてスライドしてしまって厳しかったです」と琢磨。
堂々3位の結果を出して琢磨の10回目のインディー500が終わった。