この記事をまとめると
■レストア済みの車両よりもノンレストアの車両の方が価値があることも多い
■レストアによって旧車が当時持っていた「味」が失われることもある
■作業の程度にもよるが旧車はむやみにフルレストアする必要はない
再塗装によりダメージを受ける場合も
旧車趣味のなかでも、フルレストアというのは憧れというか、別格の扱いだ。ちまちまと直すのもいいが、ボディ、そしてエンジン、ミッション、駆動系などのすべてをリフレッシュ。新車のようにする、まさにクルマの初期化だ。
しかし、フルレストアがすべてにおいて優るというわけではないのもまた事実。決してフルレストアを否定するわけではなく、程度が悪ければレストアするしかないので、すべての旧車に当てはまるわけでもないのだが、「レストアはしないにこしたことがない」というのも旧車維持の真理。
それがノンレストア車と呼ばれるもので、某旧車雑誌では未再生原形車と呼んでいたりもする。その名のとおり、新車から何もしていない個体のことで、当然のことながら程度が抜群にいいものを指す。そんなクルマあるのか? と思うかもしれないが、丁寧に乗りながらしっかりと手入れされてきた奇跡の1台というのは存在する。ちなみにボロボロな個体を手入れしていないのは、ただのボログルマというだけだ。
なぜノンレストア車が珍重されるのかというと、まずボディに関しては、塗装は剥かないに越したことはない。鉄板や下地、そして塗装に問題がなければ、生産時のままのほうがよく、すべて剥離してシビアに処理しても一度露出してしまった鉄板はどうしても耐久性や質の点で劣ることが多い。空気に一度も直接触れていないか、一度でも触れてしまったかという差は大きい。