当時はクルマ好きの誰もが知っていたマシンたち
平成のモータースポーツシーンで印象深いのは、国産車の黄金期とも言えた90年代のWRC。チャンピオンに輝いたトヨタ、三菱、スバルだけでなく、日産、マツダ、スズキ、ダイハツなど、多くのメーカーがワークス、もしくはそれに近いカタチで参戦していた。それぞれ輝かしい記録を残しているが、そのなかでとくに印象深いクルマ5台をピックアップしてみよう。
1)トヨタ・セリカ(ST165)
「流面形」と呼ばれた4代目セリカ。フルタイム4WDのGT-FOURは、1988年にWRCにデビュー。平成元年(1989年)のオーストラリアで初優勝を飾る(ドライバーは、ユハ・カンクネン)。
そして今年のF1のマクラーレンのドライバー、カルロス・サインツJr.の実父、カルロス・サインツのドライブで、1990年、王者ランチャを打ち負かし、日本車で初のWRCのドライバーズチャンピオンを獲得した(スペイン人で初の世界チャンピオン)。サインツは、1992年にもST185セリカを駆ってチャンピオンになっている。
ST165の強みは、油圧制御のセンターデフ。4WDが強みを発揮するグラベルだけでなく、ターマックのタイトコーナーでもクイックな回頭性を見せた。
セリカは、ST165の後継車、ST185でも1992年にカルロス・サインツがドライバーズタイトルを獲得。翌1993年には、カストロールカラーになり、ユハ・カンクネンがドライバーズタイトルを獲得するとともに、日本車ではじめてマニュファクチャラーズチャンピオンにもなり、日本車初のダブルタイトルを達成している。
2)三菱ランサーエボリューションV
90年代前半のWRCの主役が、トヨタのセリカだったとすると、90年代後半の主役は三菱のランサーエボリューションシリーズ。
ランエボは、1993年にWRCにデビューし、1995年に初優勝(エボⅡ)。1996年~1999年まで、トミ・マキネン(現在のTOYOTA GAZOO Racing WRTの代表)のドライブで、ドライバーズタイトル4連覇の偉業を達成。
とくに1998年には、エボVによって、マニュファクチャラーズタイトルとグループNも制し、WRCの三冠を達成。三菱がこだわりぬいて開発し続けた、電子制御のアクティブデフの進化が、大きなアドバンテージとなっていた。
2000年には、トミ・マキネンの4年連続ドライバーズチャンピオン獲得を記念して、ランサーエボリューションVI トミ・マキネンエディション(通称エボ6.5)が発売された。