ほかにないものを作るというホンダの真骨頂が2台登場
3)日産セドリック&グロリア(Y34型)
かつてトヨタ・クラウンと双璧を成す日本の高級車だったセドリック&グロリアは、このモデルでラグジュアリーなセドリック、スポーティなというキャラクターの差別化を進めた。
クルマそのもので目立ったのはこの点くらいだが、技術面ではエクストロイドCVTと呼ばれるディスクとローラーを使う大パワーに対応するCVTを採用。当時CVTを組み合わせることができたのは2リッターのNA車あたりが限界だったのを考えると画期的な技術だったのだが、如何せん高価な上に費用対効果に疑問があったのも事実で、残念ながら普及には至らなかった。
しかしのちに日産のFF車用横置きCVTは通常の金属ベルトを使いながら3.5リッターV6NAという強力なエンジンにも対応できる強さを持つようになり、その過程としてエクストロイドCVTが残した功績は決して小さくない。
なおセドリック&グロリアのタクシーなどの営業車を除く乗用車はこの世代で最後となり、どちらも40年以上続いた歴史に幕を閉じ、フーガにバトンタッチされた。
4)ホンダ・インサイト(初代)
初代インサイトは2シーターのホンダ初のハイブリッドカーである。初代インサイトは小型モーターをアシストに使うIMAと呼ばれるシンプルなハイブリッドシステムを持ち、アルミボディをはじめとするアルミ素材の多用による軽量化や空気抵抗の徹底的な軽減を行い、当時の10・15モード燃費ではMT車で35.0km/Lを達成。価格もMT車で210万円と、技術レベルを含めて考えれば激安である。だが2人乗りである点など「燃費のための実験車」のような印象が強いのは否めず、初代インサイトは2006年に絶版となる。
しかしホンダには「ホンダのハイブリッド専用車といえばインサイト」というポリシーがあるのか、2009年に2代目(2014年絶版)、2018年に現行となる3代目モデルが登場しており、今後こそインサイトの車名が継続するのかちょっと気になるところである。
5)ホンダS2000
ホンダの創立50周年を記念して登場したオープン2シータースポーツカー。ホンダとしてはS800以来29年振りとなるFR車で、オープンながら強いボディ剛性を持つハイXボーンフレーム構造に9000回転まで回る250馬力の2リッターNAエンジンを搭載するという、ピュアでマニアックなスポーツカーであった。
S2000は2005年に排気量を2.2リッターに拡大するなどの幾度の改良を受けたものの、2009年に惜しまれながら生産を終了。未だに直接的な後継車が登場してないのは残念である。