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軽自動車クラスを超えた技術を満載する新型日産デイズのメカニズムに迫る (1/4ページ)

軽自動車クラスを超えた技術を満載する新型日産デイズのメカニズムに迫る

動力性能と燃費性能のベストなバランス

 新型デイズは軽自動車に求められる要素を満たしたうえで、軽自動車クラストップレベルの機能や性能が与えられている。リーズナブルで運転がしやすければいいと思われがちな軽自動車の常識を覆すとともにクラスをリードする存在となるべく進化を遂げたデイズの詳細をメカニズムの観点からクローズアップしよう。

 新型デイズは、軽自動車用としては日産初となる新開発のBR06エンジンを搭載している。ラインアップは自然吸気のBR06DEと、これにエコモーターを組み合わせたハイブリッド仕様、さらにターボ・ハイブリッドのBR06DETという3タイプが設定される。

 今どきの軽自動車はファーストカーとしてのニーズが高く、タウンユースはもちろん、高速道路を使用したロングツーリングまでオールマイティに対応できる動力性能が要求される。そこで日産は新型デイズを開発するにあたり、登録車の開発で培ってきた技術やノウハウを投入。660ccという小排気量でもスムースな発進加速や、高速道路などへの合流時の十分な加速性能を実現するため、低回転域から実用トルクを発揮するエンジンを設計した。

 ボア×ストローク比を1.14としたロングストロークエンジンは、低回転域のトルク特性に優れ、しかも燃費性能も従来のエンジンより大幅に改善されている。燃焼室のタンブル効果によって燃焼速度が向上し、混合気の均一度を改善させることで燃焼安定性が高められた。

 また、ガソリンを燃焼室に噴射するインジェクターには、日産が世界に先駆けて量産化を実現した、霧化特性に優れ、広角噴霧が可能なスリムタイプを2本使用するデュアルインジェクターシステムを採用。混合気の霧化を促進して燃焼安定性を高め、燃費性能の向上につなげている。

 そのほか、ピストン裏面をヒートシンク構造として燃焼室の温度を下げ、ノッキングの発生を抑制したり、冷却性能を向上させたEGRバルブにより、吸入行程でのポンピングロスを低減させたりするなど、エンジン全体で燃焼効率・燃費性能を高めることに注力している。

 デイズとしては初採用となるハイブリッドシステム(Sハイブリッド)は、機構や作動については、セレナに搭載されているものとほぼ同じ。発電および再始動用のモーターをエンジンのオルタネーティングベルトで駆動する。モーターはデイズのエンジンルームに収めるために小型タイプを採用。出力は2kWとセレナ(1.9kW)と同等となっているが、組み合わされるエンジンの排気量がセレナの約1/3となるデイズでは、エンジン出力に対するモーター出力の比率が高まり、自然吸気で約5%、ターボ仕様で約4%のパワーアシストとなる。

 また、モーター駆動用の電源を小型で回生時の充電効率に優れるリチウムイオンバッテリーとして運転席下のフロアに設置している。回生時に蓄えた電力を加速時のパワーアシストに使うほか、アイドリングストップ時の電装品の電源としても使用する。こうした制御によってエンジンが停止している時間を増やし、燃料消費量を大幅に抑制できるというわけだ。

 パワートレインでは、トランスミッションも軽自動車に特化し新設計となった。無段変速式のエクストロニックCVTという機構は同じだが、フリクションの低減によって燃費性能の向上に貢献する特性とし、さらにホイールベースの伸長など車体全体のパッケージングによりスペースが狭くなったエンジンルームに合わせて軽自動車専用にコンパクト設計としている。また、CVTの小型軽量化のために、変速比幅をエンジンのトルク特性や軽自動車での実用使用領域を考慮して、変速比幅を最適化しているのもポイントだ。

 さらにエンジン本体の剛性向上に合わせてトランスミッションとの締結剛性を高めることで、エンジンの振動を抑制し、低騒音・低振動を実現している。軽自動車クラスの概念を覆す上質な乗り味を味わうことができる。

 CVTの変速は基本的に無段変速式だが、ドライバーの加速意図に合わせて、アクセルを深く踏み込んだときには多段ATのようにステップ変速を行うDステップ変速制御を採用。新型エンジンではエンジン音をチューニングしたこともあり、Dステップにより、小気味いい加速感を得られる。エンジンとトランスミッションの組み合わせで、ドライブフィーリングも向上させているのだ。

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