2シーターから4ドアセダンとなったモデルも存在
名は体を表すというが、クルマの名前にはイメージが固定されがちだ。とくにロングセラーとなっているモデルではその傾向が強い。たとえば、トヨタ・クラウンは国産の高級セダンというキャラクターを長年にわたり磨き続けている。一方、幾度もモデルチェンジを繰り返しているうちに初代のイメージとかけ離れてしまうこともある。現行モデルの初代を眺めてみて、生まれた時と現在でイメージが変わってしまったモデルをピックアップしてみよう。
1)ホンダ・インサイト
初代と現行モデルでまったくイメージが変わってしまったモデルとして、このところ指摘されることが多いのが「ホンダインサイト」だ。ホンダのハイブリッド専用モデルとして「インサイト」という名前を付けるという点ではまったくブレていないが、その恰好はずいぶんと変わっている。
初代インサイトは燃費世界一を目指した尖ったクルマ、専用設計の1リッター3気筒エンジンにモーターを組み合わせたパワートレイン、空力性能と軽さを追求したオールアルミボディは2シーター仕様だった。
ちなみに、2代目インサイトは5ドアハッチバックで、200万円を切る価格で話題となったハイブリッドカーの価格破壊を提案したモデルだった。
そして、現行モデルはオーソドックスなフォルムを持つCセグメントの4ドアセダンとなった。ボディサイズが圧倒的に成長した現行モデルは、1.5リッターエンジンと2モーターハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドi-MMD」を組み合わせている。
各モデルのカタログ燃費はモードが異なるので比較できるものではないが、経験的な補正や実際の走行燃費からすると、歴代インサイトでもナンバーワンの燃費性能を持っているのは現行型といえる。見た目や使い勝手は変わったが、燃費性能を追求するという姿勢は不変だ。
2)スバル・ジャスティ
ずいぶんと前の話だが、スバルの乗用ラインアップが登録車のレオーネと軽自動車のレックスだった時代がある。そんななか、1984年に初代ジャスティが生まれた。1リッター3気筒エンジンを積んだハッチバックのFFコンパクトカーのジャスティは、ドアなどサイドパネルを軽自動車のレックスと共用するといった成り立ちで、まさにレックス・ワイドというべきモデルだった。その後、量産車として電制CVTを世界初採用するなど自動車技術史に残る一台ともいえる。また、全日本ラリーでは多くのドライバーを育てたことでも知られている。
日本では初代モデルでディスコンとなっていたが、欧州向けにはスズキからカルタスやスイフトのOEMを受けて2代目・3代目として発売。資本関係の変更により4代目はダイハツ・ブーンのOEMとして販売された。そして、国内で復活した現行モデルのジャスティはご存じのようにダイハツからのOEM。ダイハツ・トール、トヨタ・ルーミー/タンクの兄弟車として、コンパクトなスライドドア車としてよみがえった。