日本市場への早期導入はレクサスにとってマイナスになる可能性も
2019年の上海モーターショーから届いたいくつもの情報のなかでも、日本市場からの注目度が高かったのは、レクサス初のミニバン「LM」のワールドプレミアでしょう。スライドドアにおもてなしの価値を感じるというアジア圏において、レクサスならではの提案といえるニューモデルです。とはいえ、そのベースが日本で人気のトヨタ・アルファード/ヴェルファイアであることは一目瞭然。はやくもレクサス顔へのスワップの声が上がるなどレクサスLMを望む声は大きくなりつつあります。
では、日本市場にレクサスLMが投入される可能性はあるのでしょうか。現時点ではLMは、あくまで中国市場向けの商品企画という話になっています。LMには4名乗車と7名乗車をラインアップするということですが、上海モーターショーで飾られていたのは、後席に独立したキャプテンシートを配した4名乗車仕様で、前席とはパーテーションで仕切られているリムジン的なモデル。日本仕様でいうところの「ロイヤルラウンジ」に相当する内容といえます。
この「ロイヤルラウンジ」は売れっ子芸能人などのVIPに愛用者が多いといわれていますが、そうであればレクサス仕様には十分にニーズがあるといえそうです。なにしろ、トヨタ・アルファード/ヴェルファイアのロイヤルラウンジは1500万円以上のメーカー希望小売価格をつけているのです。そこに少々上乗せしたレクサス仕様があっても十分にビジネスとして成立するはずです。
さらに、これからトヨタは販売チャネルの統合をすることが決まっています。つまりトヨペット店で扱っているトヨタ・アルファード、ネッツ店で扱っているトヨタ・ヴェルファイアのどちらかは市場から消えることは既定路線です。ならば、最上級ミニバンの、さらにプレミアムな立ち位置としてレクサスLMにニーズが生まれることは容易に想像できるところ。
すぐさまレクサスLMが日本導入されるとは考えにくいですし、現状ではトヨタ・アルファード/ヴェルファイアのバッジエンジニアリングと捉えられてしまう面もあるでしょうから、日本導入はブランドイメージ的にマイナスかもしれません。しかし、トヨタ・アルファード/ヴェルファイアを単一モデルに整理するタイミングであれば、レクサスLMを日本市場はスムースに受け入れるのではないでしょうか。