それでもEVで長距離移動をしようと考える人は少ない
さて、クルマによる移動の距離についてもう少し考えてみよう。一般的に、欧米では日本に比べてクルマでの移動距離が長いと言われている。
確かに、欧州では夏のバカンスシーズンになると、いくつもの国境を超えて自走する家族が多い。そのため、燃費の良いディーゼル車が好まれ、さらに燃費の良いマニュアルトランスミッション車の需要が多かった。
また鉄道など地上での公共交通が欧州や日本と比べると乏しいアメリカは、まさにクルマ社会だ。一家で複数車を所有し、通勤、通学、買い物など、なんでもクルマを使う人たちが多い。このように日常生活のなかで長距離移動が多い欧米で、EVはどのように思われているのか?
端的に言って、EVで長距離移動をしようと考える人は少ない。仮に、大容量電池を搭載していても、電欠のリスクを考えてしまうのは当然だ。一部の富裕層において、「車載アプリで充電スポットは一応確認しておいたから、まあ、大丈夫だろ」といった心に余裕がある人はいるにはいるが、稀な存在だと言わざるを得ない。
欧米でのEVとは、市街地やその周辺を走行することに適したシティコミューターというイメージと、新しい技術の先物買いというイメージがいまだに強い。